【ミライデザイン研究所】能動的に鑑賞してしまう展示方法と空間についての考察 -前編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのNです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回のトピックは、東京オペラシティアートギャラリーで開催されていた「ライアン・ガンダー われわれの時代のサイン」です。 身近な事柄を鋭く観察・分析して制作される彼の作品は、私たちにさまざまな問いを抱えさせます。 「あたりまえ、これってなんだっけ?」 大まじめに、しかしユーモアを交えて「そもそも」を考えるきっかけをつくるのは、ガンダーの作品の真骨頂です。 この展示自体「見る」ことについての考察が一つのテーマになっています。 会場にはオブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像など多岐にわたり作品が展示されていて、ただ鑑賞しやすい見せ方ではなく、 来場者が能動的に鑑賞する必要がある展示方法、見せ方が設計されていました。 これはガンダーの真骨頂である、「当たり前を問う姿勢」が、展示方法や空間の使い方にも表れていたからだと感じました。 ですので今回の記事では、なぜ能動的に鑑賞してしまうのかを ガンダーのユーモアあふれる展示方法、空間の使い方の観点から考察していきたいと思います。 【ポイント1:あえて隠す】 [gallery columns="2" link="none" ids="7932,7933"] この展示では、あえて隠し、全ては見せないような展示方法が多用されていました。 こちらはウェイティング・スカルプチャーという作品です。 見た目は黒いボックスになっていて、ボックスの左上にゲージがあり、一定時間が過ぎるとゲージが最初に戻る仕掛けになっています。 これらは世界の人口が100人増える時間や、個人が1日当たりインスタグラムに費やす時間、といったように 実はボックス一つ一つには意味があります。 しかしあえてキャプションなどを置かず、どんな時間を表しているかの説明が隠されているため、 鑑賞者たちはボックスのゲージを覗き、配られた紙で、ボックスの意味を探しながら、注意深く、観察していました。 こちらは「あなたをどこかへ連れて行ってくれる機械」という作品です。 作品の近くに手をかざすと、軽度と緯度が書かれた紙が出てくる仕掛けになっています。 展示空間内の壁にひっそりと設置されていて、見た目に関しても、美術館の設備のような 見た目をしているため、かなり気付きにくい作品になっていしました。 しかし、この作品に気づき、手を近づけ、紙を手にしたときに、ちょっとした優越感を味わえるようなスパイスの効いた作品でした。 このように、あえて全てを見せず、展示物の意味や展示物自体を隠すことで、 鑑賞者が作品を普段よりも観察し、作品を探す目を持ち、鑑賞していたと思います。 さらに、作品を見つけることで、意味が知ることができ、見つけた鑑賞者だけが得られる物があることで、 探すモチベーションや優越感が味わえるように設計されていました。 発見した者だけが知れる、得られ物がある体験設計も鑑賞者が能動的に鑑賞してしまう要因の一つだと感じました。 【ポイント2:上下左右、空間全体を使う】 こちらは「自分の能力に自信を持て」という作品です。10cmほどのすごく小さな作品で、大きな絵画の端に展示されていました。 この作品に気づいていない人も多く、見るための感覚を研ぎ澄ませなければ、素通りしてしまう作品になっています。 またこのネズミオブジェは実物大で展示してあり、 本物なのか作品なのか、一目ではわからないような展示方法からも作者のユーモアが感じられました。 こちらは「摂氏マイナス267度 あらゆる種類の零下」という作品です。 まるで誰かが持っていた風船が飛んでいってしまったかのように天井に展示されていて、上を見ない限り存在に気づくことはできません。 美術館なので、天井高も高く、普通の美術展では経験したことのないような高さに作品があり、 この作品に気付かず、この下にある作品を注意深く鑑賞している人がいる、といったような面白い状況ができていました。 この2つの作品のように極小の作品が床の端に展示されていたり、普段は経験することのない高さに作品が展示されていて、 上下左右の空間を限界まで使うことで、鑑賞者がいつもよりも感覚を研ぎ澄まし、 空間全体を見ようとしなければ、作品を見逃してしまう設計になっていました。 普段の見方では見逃してしまうからこそ、鑑賞者に能動的鑑賞を促していたように思います。 後編では、ポイント3についてご紹介します。   【参考】 「ライアン・ガンダー われわれの時代のサイン」公式ページ:https://www.operacity.jp/ag/exh252/

【ミライデザイン研究所】セーラームーンとエヴァから学んだ、「圧倒される空間」の作り方 -後編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのKです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、先日、渋谷ヒカリエで開催されていた「エヴァンゲリオン大博覧会」と、 六本木ミュージアムで開催中の「美少女戦士セーラームーンミュージアム」についてお送りします。 この2つのイベントに共通する「圧倒される」空間の作り方について、私が感じた圧倒ポイント、 1:3mを越える!大きなアイキャッチ 2:びっしり並べる!広く・密度の高い展示 3:見上げるほど高く!目線より高い位置まで設置 のうち、後編では2.と3.について考えていきます。 圧倒ポイント2:びっしり並べる!広く・密度の高い展示 平面的な物の展示を来場者の印象に残すためには「大きい面積+高い密度で見せる」のも効果的な手法だと思います。 一つ一つは小さくても、隙間なく並べ、大きな面積で見せることによって、 展示会にいるから感じることができる、インパクトが出ると感じました。 また、歴史の長い作品だと特に、解像度が低いイラストや資料しか残っておらず、小さい展示物になってしまう場合があります。 その場合でも、この展示方法ならば、迫力を与えることができます。 圧倒ポイント3:見上げるほど高く!目線より高い位置まで設置 目線より高い位置に象徴的な展示を持ってくることによって空間全体に迫力が出せますが、 どちらの展示会も、その効果を活かしている演出がありました。 二つの展示会では、密度と物量ある壁面を足元から天井の方まで作り、視線を誘導していました。 効果を用いる際、高い位置にポツンと展示するのではなく、その位置まで視線を誘導する仕掛けが必要だと感じました。 まとめ:二つの展示会の共通点と「圧倒される」空間の役割 どちらの展示も上記3つの圧倒ポイントによって、「コンテンツらしさ」が強調されていました。 セーラームーン展は、全体として可愛らしさ・綺麗な空間が印象的でした。 ピンクを基調とし、女性向けコンテンツらしさが出ていたと思います。 動線も、博物館のような緩やかな強制動線となっており、整然とした展示になっていました。 その中で圧倒する空間の存在は、展示の目玉である綺麗な書き下ろしイラストや、貴重な資料を強く印象に残す役割がありました。 一方エヴァ展では、ダイナミックな空間が印象的でした。男性ファンも多く、戦闘シーンが魅力的なエヴァらしさが出ていました。 自由動線で動き、自分でグッズや思い出を発掘するようなワクワク感が生まれていました。 その中で圧倒する空間は、視線を誘導し、大胆さだけではなく、体験に強弱を生んでいたと思います。 どちらの展示会も、コンテンツと空間の力によって、日常では味わえない体験ができます。 「美少女戦士セーラームーンミュージアム」は12月30日まで開催中ですので、ぜひ会場へ足を運んでみてください。 【参考】 「エヴァンゲリオン大博覧会」公式サイト:https://eva-x-expo.exhibit.jp/ 「美少女戦士セーラームーンミュージアム」公式サイト:https://sailormoon-museum.com/

【ミライデザイン研究所】セーラームーンとエヴァから学んだ、「圧倒される空間」の作り方 -前編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのKです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 先日、渋谷ヒカリエで開催されていた「エヴァンゲリオン大博覧会」と、 六本木ミュージアムで開催中の「美少女戦士セーラームーンミュージアム」に行ってきました。 どちらの展示会も、コンテンツを全身で感じる空間が作られており、その迫力に圧倒されました。 今回はその二つの展示会の共通点から考察した、「圧倒される空間」の作り方についてお送りします。 まず、それぞれの展示会の概要をご紹介します。 エヴァンゲリオン大博覧会(以下、エヴァ博) 開催期間:2022/7/15〜8/26 会場:渋谷ヒカリエ9階 ヒカリエホール ※2022/12/27〜OSAKA開催、以降各地巡回予定 ・TVシリーズ開始から現在に至るまで、 25年以上の歳月をかけて築き上げられたエヴァカルチャーの広がりを代表的なカテゴリごとに紹介。 ・「エヴァンゲリオン」が今まで実施してきたプロダクトが一堂に会します。 誰もが知っているあのプロジェクトにまつわる品々や、今ではお目にかかれないレアグッズなど、 圧倒的な物量の展示品からエヴァプロダクトが持つパワーを堪能できます。 (公式HPより引用) 美少女戦士セーラームーンミュージアム(以下、セーラームーンミュージアム) 開催期間:2022/7/1〜12/30 会場:六本木ミュージアム ・原作者・武内直子氏が描き下ろした新作原画含む貴重なカラー原画を過去最大規模で展示します。 カラー原画は会期ごとに全作品が入れ替わる予定です。 ・過去最多の600点を超える秘蔵資料を一堂に集めたコレクション展示をはじめ、 没入型体験シアターやホログラム原稿展示など、作品の世界を体験できる全く新しい展覧会です。 (公式HPより引用) それでは、「圧倒される」空間の作り方について、私が感じた圧倒ポイントをご説明していきます。 1:3mを越える!大きなアイキャッチ 2:びっしり並べる!広く・密度の高い展示 3:見上げるほど高く!目線より高い位置まで設置 圧倒ポイント1:3mを越える!大きなアイキャッチ この画像は、セーラームーンミュージアムで、来場者が一番最初に目にする展示物です。 高さ3.5mはある天井から床ギリギリまで、展示会のために書き下ろされたイラストのターポリンが吊られていました。 同じようにエヴァ博でも序盤に高さ3mほどのロボットの展示があったのですが、撮影NGでお見せできないのが残念です…! 展示会のファーストインプレッションとして、物の大きさで圧倒し、来場者の心を掴む仕掛けだったと思います。 後編では、圧倒ポイントの2と3についてご紹介します。 【参考】 「エヴァンゲリオン大博覧会」公式サイト:https://eva-x-expo.exhibit.jp/ 「美少女戦士セーラームーンミュージアム」公式サイト:https://sailormoon-museum.com/

【ミライデザイン研究所】鑑賞する絵画から、体感する絵画へ -後編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのIです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、現在日本橋三井ホールで開催中の日本初の没入体験型ミュージアム 「Immersive Museum(イマーシブミュージアム)」についてお送りします。 このイベントを体験して感じた下記の2点、 ①作品世界により深く入り込ませるための要素 ②没入体験を最大化するための工夫 のうち、後編では②について考察します。 ②没入体験を最大化するための工夫 ◆入口 絵画の世界が広がった空間へ誘導する前に、プロローグとして絵画についてや、 印象派が生まれた背景などを読みながら入る形になっていました。 映像のみの展示になるので、最初に言葉で時代の背景を頭に入れ、そこから体験することで、 絵画の世界にスムーズに入り込んでいけると感じました。 ◆黒いカーテン HPやこちらのフォトスポットにもなっていますが、黒いカーテンが会場入口にもあり、そこから展示に入れるようになっていました。 入口付近も全体的に暗くなっていて、真っ暗なカーテンの隙間からカラフルな映像が見えるような演出がされていました。 来場者のワクワク感を高めると同時に、カーテンをめくって中に入るという動作が伴うので、 "入り込んだ"という没入感が高まっているのではないかと思いました。 ◆Café & Giftエリア Immersive Museumでは、Café & Giftエリアも展開しており、印象派をモチーフにしたドリンクやフードも提供されており、 ここでも絵画の世界に浸れるような工夫がされていると思いました。 こちらのクリームソーダはクロード・モネ『日の出』『睡蓮』『睡蓮の池と日本の橋』がイメージされていて、 飲みながら色の混ざり合いを楽しむことができました。 また、このエリアでは、サウンドアーティストYuu Udagawaによる サウンドインスタレーション作品『水紋~Water Crest~』が空間展示されており、 サウンドスケープ(音風景)という概念を元に、「音楽」で、水紋のように、流動的な変化を感じさせるような工夫がされていました。 空間全体で絵画の世界を五感で感じられるようになっていると感じました。 グッズ販売でも色とりどりなものが多く、Immersive Museumで感じた絵画の世界を実体験として鑑賞し、 カラフルな思い出を持ち帰れるような形になっていました。 まとめ これまでは美術館の壁にかけられていた額縁の世界を見るという芸術体験でしたが、 ここでは画家たちの作品の世界の中に自分たちが“入り込む”ことができました。 鑑賞する絵画から、体感する絵画へと変わったことで、今回の企画では、19世紀の時代に作家が感じていた時間の流れや光の動きを、 現代的な解釈を加えた新しい視点で体験することができ、多くの発見がありました。 世界中で“没入感”への需要が急激に高まっていて、 没入感が求められるのはゲームやアートだけでなく、イベントシーンでも注目されています。 そこで考えておきたいこととしては、何を見せる・展示するのか、ではなく、来場者側にどう感じてもらうかというところだと思います。 そこを踏まえた上で、技術を用いて空間を意識した奥行き感や立体感のある映像で臨場感を表現したり、 視覚だけではなくさらに音を加えるなどの、『五感』で没入感を高める仕組みが必要だと感じました。 ご紹介した展示は、10月29日まで、日本橋三井ホールで開催されております。 ぜひ実際に新しい絵画の体験をしに、足を運んでみてください。 【参考】 「Immersive Museum」公式サイト:https://immersive-museum.jp/ Immersive Museum.“日本初!音と映像により視覚体験を超えた絵画の世界に没入する体験でモネら印象派を味わい尽くす"飛び込むアート"を 日本橋三井ホールにて「Immersive Museum」開催決定”. PR TIMES. 2022-4-20. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000054201.html, (参照2022-08-04)

【ミライデザイン研究所】鑑賞する絵画から、体感する絵画へ -前編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのIです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回のトピックは、現在日本橋三井ホールで開催中の 日本初の没入体験型ミュージアム「Immersive Museum(イマーシブミュージアム)」です。 芸術の楽しみ方も、時代によって変貌を遂げてきています。 額縁の中に入った作品を静かに眺め、自分自身と向き合い楽しむ芸術鑑賞も素敵ですが、 ここ数年盛り上がりを見せているのが"没入感"のある芸術世界の楽しみ方です。 この「Immersive Museum」は、近年演劇やアート、エンターテインメントのジャンルで世界的なトレンドとなっている “Immersive(イマーシブ)=没入感”をキーワードとする、新たなアート体験プログラムです。 世界的に著名な芸術作品を映像コンテンツ化し、広大な屋内空間の壁面と床面全てを埋め尽くす没入映像と特別な音響体験を提供する 新感覚体験型アートエキシビションで、従来の「鑑賞型」の芸術鑑賞のスタイルから「没入型」のスタイルを提供し、 来場者に新たな芸術鑑賞の「視点」を提示しています。 日本開催第一弾となる今回のテーマは『“印象派” IMPRESSIONISM』です。 世界的に人気の高いクロード・モネの「睡蓮」や、ドガの「踊り子」ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」といった、 印象派の名画の数々が高さ6m、約700㎡の巨大空間に映像化されています。 参加者はその世界観の中を自由に歩き回り、視覚を通した「見る」「鑑賞する」といった行為を超えて、 あたかも全身で名画の世界に入り込んだようなアート体験ができる空間でした。 今回はこのイベントを体験して感じた下記の2点について考察してみたいと思います。 ①作品世界により深く入り込ませるための要素 ②没入体験を最大化するための工夫 ①作品世界により深く入り込ませるための要素 今回のプログラムでは、19世紀の西洋絵画研究で知られる早稲田大学文学学術院坂上桂子教授監修の元、 クロード・モネの作品を中心に、印象派を代表する8名の画家と約70作品が選定されました。 19世紀のフランスで絵画の世界に大きな革新をもたらした作品群が8つのシーンに分けられて構成されています。 8つすべてを1つの作品として通しで鑑賞する形で、1回の上映は約30分です。 上映される映像に切れ目がなく、8つのシーンが続けて流れることで、 没入したままの状態を保つことができる形になっていると感じました。 また、それぞれのシーンごとにテーマを設け、元の絵画作品を単純に映像化するだけではなく、 作品世界により深く入り込むための「要素」が数多く加えられています。 まず、8つのシーン構成をご紹介させていただきます。 ○Scene1 印象・日の出 「印象派」という名称のきっかけとなった、モネの名画「印象派・日の出」。 この絵に描かれている19世紀フランスのル・アーヴル港を、写真資料などを元にCGで再現されている。 眼前の風景、光と色を、どう絵画に定着させていったのか。モネの主観を追体験する。 ○Scene2 印象派展 19世紀パリの街角を抜け、とあるアパルトマンの上階へ。 第一回印象派展が開催されたナダール写真館を彷彿とさせる建物に入っていく。 展示されているのは実寸の印象派絵画。当時の人々が見たであろう印象派展を光の演出とともに鑑賞する。 ○Scene3 印象派の技法 印象派最大の特徴ともいえる、細かい筆致が空間を埋め尽くす。 鮮やかな色の絵具の重なりは、鑑賞者との距離によって色調が変わり、やがて写真のような水面が姿を現わす。 モネの「ラ・グルヌイエール」を題材に、印象派の技法へと没入する。 ○Scene4 印象派の画家たち 一括りに印象派と言っても、風景画を主題にしたピサロ。 市井の人々を描いたドガ、新しいライフスタイルの女性を描いたカサットなど、その眼差しと技法は幅広い。 全8回の印象派展に出品された絵画を中心に、画家ごとの個性の違いを体感する。 ○Scene5 絵画の中へ 画家の網膜がとらえた色彩の中へダイブする。 絵画の中へと進んでいくうちに、色はバラバラに分解され、描かれたモチーフは解体される。 二次元の絵画は三次元の点群となり、そこに入っていくにつれ意味が解体され、純然たる「色」に包まれていく。 ○Scene6 モネの連作 多くの連作を残しているモネ。 時間帯によって光の角度が変わり、それに伴い変化する色を再現するため、 彼は多くのキャンバスを用意して屋外に出かけ、対象の光が変わるたびにキャンバスを変えて制作したという。 モネが捉えようとした光の移ろいを再現する。 ○Scene7 睡蓮 モネの代表作である睡蓮。フランス・ジヴェルニーにある自宅の庭で、 モネの印象派グループが解体した後もその技法を追求し続けた。 光と色だけでなく、風邪や匂いまで感じさせるような、印象派の一つのゴールともいえる睡蓮の世界に没入する。 ○Scene8 印象派 既存の美術界の立ち向かい、絵画史に一つの時代を刻んだ印象派。 それは決して1人で成し得たものではなく、志をともにする仲間やライバルと影響を与え合い支え合うことで生まれた。 印象派の中心となった画家たちの肖像を紹介する。 この中でも絵画に入り込めるための要素として工夫されていると感じたポイントを、 3つのシーンと共にピックアップさせていただきたいと思います。 まず1つ目は、Scene1の「印象、日の出」です。 「印象、日の出」では、19世紀当時にモネが見たであろうフランスのル・アーヴル港を、 最新のCG技術を用いて実際の絵画作品と融合させ新たな感覚を生み出していました。 座っているクッションや床にも水模様が映し出されていて、まるでそこに自分もいるかのような感覚になりました。 この、床まで映像が続いているというのが絵画へ入り込む没入感の重要なポイントになっていると感じました。 2つ目は、Scene3の「印象派の技法」です。 印象派の特徴でもある鮮やかな絵の具を分割し、スケールを変えてみせることで制作過程の絵の中に入り込んだような体験ができるような映像になっていました。 自分自身の服や足にまで絵具がついているような演出になり、絵の一部になったような感覚を味わうことができました。 数々の筆致が重なり合い、だんだんモネの絵になっていくところは、絵のできる過程を見ているようで目が離せなかったです。 また、絵画のタッチ一つ一つを分解して、書き手の心情や表現したかったことに触れるという感覚が今までなかったので、 絵画を新しい視点で見ることができました。 3つ目は、Scene6の「モネの連作」です。 「モネの連作」では、同じ風景の異なる瞬間を切り取った作品群を連続的につなげ、時間の移ろい自体を体感でき、 画家自身が感じていた感覚に近いような体験ができるように工夫されていました。 作品を連続的に見ることで、前後の絶妙な色の変化に気づくことができ、より時間の流れを感じることができました。 こうした様々な手法を通じて、鑑賞者が画家自身になったかのような“視点の転換体験”を生み出し、 没入感を最大限引き出す空間が作られていました。 (後編に続きます) 【参考】 「Immersive Museum」公式サイト:https://immersive-museum.jp/ Immersive Museum.“日本初!音と映像により視覚体験を超えた絵画の世界に没入する体験でモネら印象派を味わい尽くす"飛び込むアート"を 日本橋三井ホールにて「Immersive Museum」開催決定”. PR TIMES. 2022-4-20. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000054201.html, (参照2022-08-04)

【ミライデザイン研究所】素材で七色の変化をもたらす没入体験 -後編-

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クリエーティブ局 デザイナーのSです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編、中編に引き続き、東京都立川市のPLAY!MUSEUMで開催されていた「コジコジ万博」についてお送りいたします。 今回は体験を通してメルヘンな世界へと引き込む要素を2つの視点から考察しており、 1.誰もが楽しめる企画・会場構成 2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える のうち、後編では2.の続きと、まとめをお送りします。
 2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える 最後に紹介するのは「⑤ディスコ☆ポケットカウボーイ」です。 アニメのエンディング曲である「ポケットカウボーイ」が流れており、 アニメ映像にも出てくるお立ち台、テクノポップな音楽、ミラーボールの光が反射する空間は まるでディスコのような雰囲気をもたらしてくれます。 また3つのプロジェクターから構成される最新技術の映像ビジョン、そして後ろのスペースには1900年代のカラーテレビが並んでおり、 どちらもエンディング映像が映し出されています。 アナログで当時を懐かしむ人もいれば、最新技術でコジコジ万博を堪能する人もいて、楽しみ方は人それぞれです。 個人的にはそれらが同じエリアに配置されていることで、 アナログを大迫力で楽しみ時間軸を行き来するような新しい不思議な感覚になりました。 ここからも最新技術とアナログを組み合わせて、また違ったアプローチで新たな感覚を生み出しているのがわかるかと思います。 同時に長年愛され続けてきたコジコジの歴史をこのエリアで堪能できるのは、 コアファンの心を強く引き寄せ、ここでしか味わえない非現実的な体験になってきます。 以上3エリアをもとにアナログとデジタルによって体験価値を高める要素を紹介しましたが、 巡回していくうちに徐々に映像のサイズが大きくなっていく印象を受けました。 進むにつれ技術の進化を感じるとともに、受け取る印象も変化していきます。 素材によって適正なアプローチ方法があり、企画全体を見通しながら構成していくことが重要であると思います。 他にも原画でのストーリー鑑賞やオリジナルグッズ、期間限定のミュージアムカフェなど、 ここPLAY!MUSEUMでしか味わうことのできない体験が多く用意されていました。 まとめ 長年に渡り愛され続けてきたコジコジだからこそ、今ここPLAY!MUSEUMでしかできない体験がありました。 舞台の経験を経て得たアプローチ方法であるダンボールなどの素材を使用して、 あえてアナログ感を出すことで不思議なコジコジの世界観へと没入させています。 また、アナログとデジタルを融合させることで今まで見たことのない体験方法を提供します。 人々の記憶に残し、より深くまで没入体験してもらうには、このような双方のアプローチが効果的であると感じることできました。 これらの体験方法はコジコジ万博のみならず転用することができます。 同時にそのアプローチによってどのような効果を生み出すのか、来場者の気持ちをどう変化させていくのかを深くまで考察することで、 オリジナル性のある新しい体験方法が生まれてきます。 テクノロジーの進化が急速に行われる現代だからこそ、それらの使い所を見極めることが重要です。 これまでのアプローチ方法と掛け合わせることで、来場者が本当に求めているものに寄り添うことができるのだと改めて感じます。 企画展示「コジコジ万博」 (PLAY! Museum):https://play2020.jp/article/cojicoji/

【ミライデザイン研究所】素材で七色の変化をもたらす没入体験 -中編-

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クリエーティブ局 デザイナーのSです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、東京都立川市のPLAY!MUSEUMで開催中の「コジコジ万博」についてお送りいたします。 今回は体験を通してメルヘンな世界へと引き込む要素を2つの視点から考察していますが、 1.誰もが楽しめる企画・会場構成 2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える のうち、中編では2.についてお送りします。
 2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える 全体の構成を知っていただいたところで、細かい造作にも目を向けていきたいと思います。 先ほども触れた「世界観の表現」は来場者の心を掴むために最も重要な部分になってきます。 昨今ではプロジェクションマッピングなどで映像を大胆に投影することに注目が浴びていますが、 それだけでは似たような空間が生まれてしまい体験価値を短調にさせてしまいます。 そこで本展ではアナログとデジタルの技術を上手く活用することで、PLAY!MUSEUMならではの ここでしか味わうことのできない空間づくりを3つのアリアを紹介していきながら深掘りしていきます。 まずは入り口です。独特な造作と色使いからなるゲートは通れる高さが150cm程で、大人の胸元くらいしかありません。 子供からは大きな門を潜るような感覚で、大人は少しかがんで通った後、その先の広々とした空間と相まってより一層没入感を高めます。 一度目線を落として誘導させるのは、わざと入り口を狭くしている隠れ家的カフェなどでも使われる有効な手法だそうです。 そうすることで目線に振り幅が生まれ、空間にダイナミックさをもたらすことができます。 これらが本展でも感じ取れ、次のエリア②からは大きな木やもこもこの雲に囲まれた緑の道が存分に広がってきます。 ここで注目したいのが素材です。主に紙や段ボール、発泡スチロールなどから構成されていて、 凹凸をつけてキャラクターや名シーン、セリフを会場全体に細かく配置していくことで独特な世界観が広がっていました。 ここでも目線の移動が頻繁に行われるように工夫されていて、歩みを進めるたびにキョロキョロと見渡してしまいます。 そこはまるでコジコジたちが暮らす不思議な世界観「メルヘンの国」に入り込んだような感覚を与えます。 しかしその中でも一番際立っていたのが、プロジェクションマッピングで投影された主人公コジコジです。 大きな顔で構成されたコジコジにはインパクトがあり、表情が変わることで次のエリアにワクワク感を与えてくれます。 この時、一部分を映像で表現することはとても有効だと感じました。 もしエリア全体が段ボールなどの素材だけで構成されていたら、来場者にチープな印象を与えていたかもしれません。 素材に振り幅を与えることで空間に動きをもたらしてくれる、そのような使い方が映像表現でできるのではないでしょうか。 また「⑥モヤモヤトンネル」から先も、素材を上手く活かした手法で来場者の心を掴んでいました。 明るい道を歩いて鑑賞する所と、一変して暗く座ってじっくりと堪能する所に分かれています。 作中に出てくる登場人物の「モヤモヤな感情」を一体どのように空間に落とし込んで体感させているのでしょうか。 まず歩くゾーンでは白い布地で覆われたトンネルに映像がマッピングされており、 風でひらひらと布が揺れ映像が歪んで見えるものとなっています。 徐々にアップになっていくコミック調の映像が布地とともに動くことで、 それはまさにモヤモヤ感とメルヘンな世界観を存分に味合わせてくれるものとなっていました。 トンネルを抜けると野外シネマをイメージされた、座って鑑賞するものへと一変します。 ここでも複数ある雲の形にだけ映像を投影することで、来場者はどこから鑑賞するかを選択することができます。 それは映像から情報を全て受け取るのではなく、自らが鑑賞しているという感情をもたらすことができるので、 体感的に物語を知っていくことに繋がってきます。 (後編に続きます) 企画展示「コジコジ万博」 (PLAY! Museum):https://play2020.jp/article/cojicoji/

【ミライデザイン研究所】素材で七色の変化をもたらす没入体験 -前編-

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クリエーティブ局 デザイナーのSです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回は、東京都立川市のPLAY!MUSEUMで開催中の「コジコジ万博」についてお送りいたします。 「コジコジ」は大人もドキッとするような言葉やナンセンスなギャグが人気の作品です。 ――コジコジは生まれた時からずーっと 将来もコジコジはコジコジだよ ――遊んで食べて寝てるだけだよ なんで悪いの 年齢も性別も謎だらけな生き物である主人公のコジコジとその仲間たちとの毎日には、 子供も大人も関係なく心を掴む不思議な力があると感じます。 1997年にアニメ放送が始まり、2019年には舞台などを通して様々なアプローチで長年愛され続けてきたコジコジですが、 本展では、そんなコジコジたちが暮らす「メルヘンの国」のインスタレーション、漫画やイラストの原画、オリジナル映像を通して、 コジコジの世界観を体感的に知っていくものとなっています。 体験を通してメルヘンな世界へと引き込む要素を2つの視点から考察します。 1.誰もが楽しめる企画・会場構成 2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える 1.誰もが楽しめる企画・会場構成 PLAY!MUSEUMでは過去の企画展からも推測されるように、 体験型を絡めた企画内容でターゲットは大人から子供まで幅広いことが予測されます。 今回訪れた際にも、大半が家族で来場されていました。 さらには1997年にアニメ放送され、古くから愛されるコジコジにおいて 若者や子供の中にはそもそもコジコジを知らない人たちもいます。 ライト層とコア層の双方にも配慮しなくてはいけません。 そんな幅広いターゲットでも楽しむことができるように、会場構成に工夫が見られました。 本展は大きく8つのエリアで構成されています。 まずはコジコジを知らない人に対して少しでも作品を理解してもらうことが重要です。 ①と②においては作中の「世界観の表現」「キャラクター紹介」となっていて、ここは最初に必ず通るエリアです。 そこから先は3方向に分かれており、③~⑧のエリアは自由に回ることができるようになっています。 強制的な動線を初めの作品紹介エリアに設けることで、コジコジを見たことがない人は1から作品を知ることができ、 以前から知っている人からしても、作品を思い出し高揚感を一気に高めることができるのです。 そして世界観とキャラクターを知ってもらった後は、 ここPLAY!MUSEUMでしか味わえない手法で物語を堪能していくという流れになっています。 このように単純に来場者の動線を決めてしまうのではなく、「まずは作品を理解してほしい」などの明確な意図を持つことで 幅広い層の来場者にアプローチし、誰もが世界観を存分に楽しませることに繋がっていくのではないでしょうか。 (中編に続きます) 企画展示「コジコジ万博」 (PLAY! Museum):https://play2020.jp/article/cojicoji/

当社のオンラインイベントツールがMAツール「SATORI」とのデータ連携を開始いたしました

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イベントログデータを活用し、より効率的で質の高いマーケティング活動を 株式会社ジールアソシエイツ(本社:東京都中央区 代表取締役:永門 大輔)は、オンラインイベントプラットフォーム「zone.-unbelievable-(ゾーンアンビリーバブル)」と、マーケティングオートメーションツール「SATORI」の機能連携を開始したことをお知らせします。 「zone.-unbelievable-(ゾーンアンビリーバブル)」が取得できる固有のイベントログデータをシームレスに「SATORI」に連携することにより、より効率的なマーケティング活動をご提供いたします。 これまでは登録された基本情報やイベントログを手作業でMAツールに登録する作業が発生し、二重管理の必要がございました。 それが今回の機能連携により、それらのデータが自動的に「SATORI」に反映され、MAツールを活用したリード情報管理などのマーケティング活動がより効率良く行えるようになります。 またオンラインイベントだけでなく、リアルイベントや展示会ブースで獲得したリードを「zone.-unbelievable-(ゾーンアンビリーバブル)」に送客し、オンラインでのリッチなブランド表現や顧客体験をご提供しつつ、さらに「SATORI」と自動連動することで、質の高いマーケティング活動を支援することも可能です。 更に詳しいサービス内容や金額につきましては、お気軽にお問い合わせください。 □「SATORI」について 「SATORI」は導入実績1,000社を超えるマーケティングオートメーションツールです。「あなたのマーケティング活動を一歩先へ」をミッションに、現場で働く一人ひとりのマーケターの方を支援することで、企業の売り上げ拡大に貢献します。リード情報(メールアドレスを含む個人情報)獲得前の、匿名ウェブユーザーに対してのナーチャリングを実現することで、これまでのMAツールにくらべて、大量の見込顧客創出を実現することができます。 □SATORI株式会社 会社概要 設立 : 2015年9月 URL : https://satori.marketing/ 本社所在地 : 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23-21 渋谷区文化総合センター大和田 11F 代表:代表取締役 植山 浩介 事業内容 : マーケティングオートメーションツールの開発・販売 ■「zone.-unbelievable-(ゾーンアンビリーバブル)」について 「zone.-unbelievable-(ゾーンアンビリーバブル)」は、当社の長年にわたるリアルイベントプロデュースのノウハウを活かして開発した、リアルイベントに近い体験と商談を生み出すオンラインイベントプラットフォームです。お客様の課題・ニーズに合わせ、高品質なオンラインエクスペリエンスによるユーザー体験、集客プランニングでリードの獲得、取得データのPDCA活用など、オンラインイベントをトータルでサポートいたします。 ※「ゾーンアンビリーバブル」は株式会社ジールアソシエイツの登録商標です。 >>詳細はこちら:https://zone-event.jp/zone/ >>更に詳しいサービス内容や金額につきましては、お気軽にお問い合わせください。 【株式会社ジールアソシエイツ 概要】 本社 東京都中央区銀座1丁目19-7 JRE銀座一丁目イーストビル8F 設立 2004年1月23日 代表 代表取締役 永門 大輔 事業内容 スペースデザイン事業 コミュニケーションプランニング事業 インタラクティブコミュニケーション事業 HP https://www.zeal-as.co.jp Facebook https://www.facebook.com/ZEALAssociates twitter https://twitter.com/zealas Instagram https://www.instagram.com/zealassociate_corp/ 【本件リリースに関するお問い合わせ先】 株式会社ジールアソシエイツ コーポレート本部 東京都中央区銀座1丁目19-7 JRE銀座一丁目イーストビル8F Tel : 03-6264-2690 / Fax : 03-6264-2693 E-mail : kanri@zeal-as.co.jp Web : https://www.zeal-as.co.jp

【ミライデザイン研究所】RED°TOKYO TOWER で発見した「新しい体験」へターゲットを巻き込む方法 -後編-

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エクスペリエンスデザイン部 プランナーのTです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、2022年4月に東京タワー内にグランドオープンした 日本最大×東京タワー×esports新体験「RED°TOKYO TOWER」についてお送りいたします。 新たなeスポーツカルチャーの発信地になりうる「RED°TOKYO TOWER」に来場すると考えられる2つのユーザー層 1.普段ゲームをやらない、または少ししかしないような「eスポーツ ライト層」 2.eスポーツに関心が高く、ゲームも普段から楽しむ「eスポーツ コアターゲット層」 のうち、後編では2.について考察します。 2.eスポーツに関心が高く、ゲームも普段から楽しむ「eスポーツ コアターゲット層」 2.eスポーツに関心が高く、ゲームも普段から楽しむ「eスポーツ コアターゲット層」 では、逆に普段からゲームに触れているターゲット層にはどうアプローチしているのかについて考察していきます。 この層は、しっかりと知識を持っており、求める期待置も高いです。 そこで、「妥協しない設備」がまず必須です。そして、例えば「ここからプロのeスポーツプレイヤーを生み出すことができる」、 「日本の大会の拠点地になる」など、夢があり魅力的な、プレイヤー同士が高め合うような場所が求められているのではないでしょうか。 それらを叶える1つが、RED°ARENAというエリアです。 ここでは、プロ仕様のゲーミングPC、配信環境、大画面モニターがあり、まさに理想のゲーム環境となっています。 そして、個人がゲームをするだけではなく、教育の場にすることや大会・イベントの開催スペースにも利用可能で、 周りのプレイヤーの熱気や取り組む姿勢を感じながらプレイに励むことができるエリアになっています。 さらに、最新設備を用いたステージがRED°SKY STADIUMがあります。 eスポーツの大会やイベント、ライブを盛り上げる迫力と臨場感を詰め込んだ空間になっています。 最先端のXR映像システムを用いており、ステージ上の人物と映像、CGを組み合わせた映像演出による リアルとバーチャルの融合を体感できます。 この2エリアのように、コアターゲット層に「こんな場所が欲しかった」と思わせるような設備が しっかりと設けられているのが印象的でした。 他にも、“NEXT JAPAN”をテーマとしたカフェ&バー、RED°STANDがあり、コミュニケーションを取る場が用意されています。 プレイヤー同士の息抜きの場でもあり、イベントの観客がここで飲み物や飲食を購入し観戦するといった利用方法も考えられます。 また、オリジナルグッズやゲーム用品の販売なども行われていました。 最先端の技術を用いていることはもちろんのこと、 こういった大会やイベント・ライブでの使用を想定し、「モノ・コト」の巻き込み実現させていました。 そして、自分たちのステージがあること、目指すべき場所があること、仲間と集まる場所があるということは、 eスポーツを発展させることだけではなく、 本気で取り組んでいるコアターゲットへの配慮や意欲向上にもつながるのではないでしょうか。 まとめ RED°TOKYO TOWERでは以下のように各ターゲットを巻き込んでいました。 1.普段ゲームをやらない、少ししかしないような「eスポーツ ライト層」 ▶︎圧倒的な「空間デザイン」の力で「行ってみたい!」を多くつくり、フックに。  そして、新たな発信者に。 2.eスポーツに関心が高く、ゲームも普段から楽しむ「eスポーツ コアターゲット層」 ▶︎「自分たちの新たな拠点」を提供し、人・モノ・コトが集まる場所に。 このRED°TOKYO TOWERでは2つのターゲットが空間の中で上手く入り混じり、お互いに干渉することなく、 むしろeスポーツを盛り上げるために、強く関わっていくことができる構成になっています。 このように、ターゲットが明確に複数存在する場合にはそれぞれに対するアプローチをしっかりと考え、 提供するものを見定めなければなりません。 そして、それらを共存させるのか、はたまたしっかり分けて空間を構成するのかによっても アウトプットはかなり変化するのではないのでしょうか。 そして、新しい体験へと巻き込む際には、単に最先端なものを見せるだけでは、その場で満足して終わってしまいます。 どういった行動を生ませたいのか、どんな気持ちにさせたいのか、どんな未来を見据えるのかをしっかりと考え、 そこから空間に落とし込んでいくことが重要だと改めて感じました。 ・RED° BRAND OFFICIAL WEBSITE:https://red-brand.jp/ ・RED° TOKYO TOWER OFFICIAL WEBSITE:https://tokyotower.red-brand.jp/