【ミライデザイン研究所】2023年春の特別企画「EuroShop2023視察レポート」【考察編】

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みなさん、こんにちは! 2023年春の特別企画、「EuroShop2023視察レポート」をお送りいたします。 今回は考察編として実際に見て回った際に気づいたことや、今後我々も活かしていきたいアイデアをご紹介いたします。 ユーロショップの準備編は https://zeal-as.co.jp/euroshop2023-1/ をご覧ください。 【日本の展示会では見られない、壮大な造り】 ユーロショップだけではなく、海外の展示会は日本と出展規定(出展する際のブース造作に関するルール)が異なるため、全くと言ってもいいほどブースの表現方法が異なります。日本よりも非常にこだわり抜いた造形や素材を用いていたり、会場の天井から上物造作を吊っていたりと自由自在に空間表現がされているのが特長です。 〇吊り造作 上空に造作を設置できることで柱がなく、開放感あふれる空間になり来場者が入りやすくなっています。柱を落とす位置に左右されず造形も自由に組み合わせることが可能です。 〇ファブリック+システム部材 日本でも最近環境配慮を意識したブース制作が求められることが増加してきました。 ユーロショップでは、環境に配慮し産業廃棄物を極力減らすことを意識しており、木工造作よりもファブリック素材とシステム部材を組み合わせたブースが主流になっているのが日本と異なる点です。 「SCANBLUE社」 下記3社はシステム部材を取り扱っている企業になります。自社ブース自体が商材になっております。 「SYMA社」 このブースは二階建ての構造になっており、他社のブースよりもかなり高さが出ていて 目立っていました。 吊り構造や、外部からの柱の支えなしで、自立して8mの高さがあるとのことです。 中でスクリーンを用いて大勢に対してプレゼンができるエリアがありました。 「OCTANORM社」 日本でもよく使用されるオクタ部材で全て構成されたブースになっています。 (参考: https://www.octanorm.co.jp/ユーロショップ2023出展/) 「Aluvision社」 まだ設立20周年の若い企業ですが、最先端なシステム部材で、デザイン性の高いブースが製作できるのが強みです。 【こだわりの素材表現】 〇素材でムードをつくる さらに素材を用いて意匠的に活用されている例がありました。 まずは「L&S社」のブースになります。 上記のファブリック表現以外にも、より意匠的に使用されているブースになります。 シースルーな透け感のある布を重ね、中に展示してある照明器具の光が淡く映り込むことで、柔らかい雰囲気を醸し出しています。 「quattrobi社」 周りをメッシュ生地で囲ったブースになっています。 空間のブラックを踏襲した色になっていますが、重い印象なくスタイリッシュにおさめられています。 ぱっと見ではほぼ壁を感じず圧迫感なくも、ブースの外と内をきちんと分けるように設計されているブースが日本よりも多いです。 (参考: https://www.exhibitoronline.com/Awards/EuroShop/peopleschoice-vote.asp) 「BEST MANNEQUIN社」では壁面を左官でおおっており、落ち着いたシックな空間を作ることで自社製品を活用するシーンやブランドイメージをうまく訴求していました。 ○環境配慮をアピールした表現 ステナブルを意識し、それをブースで表現するケースも多く見受けられました。 中でも「ITAB社」のブースは本物の植栽と、ボイド菅(コンクリートを打設する際に用いる紙管)で構成するという手法を用いていました。 (参考: https://itab.com) (参考: https://www.exhibitoronline.com/awards/euroShop/peopleschoice-vote.asp?fbclid=IwAR0COw5HuMOenKDeYkfjWCrriQs_fQXks7AYJQ3Nn0IMPb0weRcSZxq83sM) 素材の質感や色味を利用し、そこにグリーンを合わせることで環境配慮を印象付けるデザインで、上から吊るされている照明もロープ素材をうまく使い、全体のトーンに合わせながらもアイコニックな存在になっています。 ○異素材を組み合わせる 素材感の異なるものを組み合わせることで、空間が単調にならず表現幅もグッと広がります。 例えば「gokcelik社」はエキスパンドメタルと石膏シートを組み合わせて、スタイリッシュなトーンで構成されているブースになっていました。 参考: https://enbursa.com/gokcelik-en-yeni-urunlerini-euroshop2023-fuarinda-tanitti.html 「grottini社」 こちらも白のエキスパンドと植栽を組み合わせ、サステナブルさと先進さを表現できているブースになります。 (参考: https://4urspace.com/blog/2023/02/28/grottini-a-new-co-creative-technological-and-sustainable-era-starts-at-euroshop-2023/) 【カラー・グラフィックで人を引き寄せる】 日本ではブースにて製品説明用のグラフィックを作成するのが主流なため、必然と情報量が多く感じることがあります。 しかし、ユーロショップには、全世界の各地からさまざまな言語を使用する来場者が集まるため、言葉を交わさなくても自然とブース内に引き込まれるような「ブースデザインで人を引き寄せる」意識が強いです。 そこでポイントになってくるのが、カラーの使い方やグラフィックでの表現になってくると思われます。 ○圧倒的なカラー配色で目立たせる 「Hans Boodt Mannequins B.V.社」では、一面がパープルで構成されており、どのブースよりも世界観が作り込まれています。 外観にはコンテナの外壁もあり 一切中の様子が見えないようになっており、中に入ってみたくなる要素のひとつになっています。 (参考: https://www.hansboodt-maniquies.es/blog/2023/03/08/the-digital-revolution/) 内観は単管や透明素材など異素材同士をうまく組み合わせています。 ○グラフィカルな空間でワクワクさせる 「Imoon社」はイタリアにて照明設計を行なっており、各製品での照明を用いた見せ方をに紹介していました。ブース全体がカラフルかつグラフィカルなため、つい入ってみたくなる目立つブースです。 【コミュニケーションをとる、に特化させた構成】 ユーロショップでのブースで気づいたことがあります。 それが、「ブース内での商談スペースが非常に充実している」、そして「ステージ・プレゼンテーション用の造作がない」ということです。 また、会話のきっかけになり、かつ記憶に残すようなキャッチーな体験施策も用いられていました。 ○商談は飲食しながらゆったりと、が主流 どのブースもほぼ必ず商談のエリアがあります。そこで飲食を提供し、来場者をおもてなししながら会話するのが基本になっています。日本ではほとんど見られない雰囲気です。 (ITAB社) ○ブース全体がステージ!どこでもゲリラでデモンストレーション 「duo社」 人の手で簡単に組み立てられるシステムのデモンストレーションが行われていました。 組み立てにかかる時間を可視化してベストタイムを出せるかドキドキさせる演出にもなっています。 ブースの空いているスペースのその場で実演するゲリラ的演出で、 ステージを行なっていない際は製品展示ができるエリアになっています。 ○企業紹介を“体験”で伝える ものを使って記憶に残る体験を通して紹介を行なっていた企業を2社ピックします。 「Umdasch社」 (参考: https://www.umdasch.com/en/n/224-sustainable-togetherthe-umdasch-trade-fair-experie) ブースに入るとプカプカと水に浮かぶアヒルが出迎えてくれます。 各アヒルには、この企業のサービスや実績紹介などの情報がRFIDタグによって埋め込まれており、来場者はこのアヒルを釣ってモニターのセンサにかざすと映像にて紹介を受けることができるという、かわいらしくも記憶に残る体験です。 「BRACE GROUP社」 (参考: https://brace-group.com) 全体を大きなキッチンとし、自社のサービスを調味料、アウトプットや実績を料理に例えている、ワクワクしてつい話を聞きたくなるコンセプトです。 調味料缶(=自社サービス)裏のコードをフライパンに読み込ませると、お皿にあるディスプレイに盛り付けられる(=詳細説明)という仕組みです。 【総括】 2日間、あっという間でしたが、全て回りきることができず残念ですが、 世界での最大規模の展示会ということもあり、かなりボリューミーな展示になっておりました。コロナ禍以降の技術発展によりデジタル商材を大きく打ち出している企業がやはり多かったです。 ブースの装飾に関しては以下のような所感を得ました。 ○環境配慮への意識が高い まず、感じたのがファブリック+システム部材のブースが多いということです。 日本では木工造作がまだまだ主流でありますが、ドイツでは、ほとんど見受けられませんでした。 ドイツは環境保護意識が非常に高い国であり、展示会やイベントにおいても環境に配慮した取り組みが積極的に行われています。そのため、再利用可能な素材の使用が推奨され、一般的には環境に優しい素材の使用が奨励される傾向が高くなっていました。 ユーロショップでは、来場者が印象に残ったブースに投票するアワードがありますが、 最も多く表を集めたのが「ITAB社」と、やはりサステナブルなブースに注目が集まるとわかります。 (参考: https://www.exhibitoronline.com/news/article.asp?ID=23069) ○空間の力で惹きつけ、コミュニケーションを活性化させる施策 さらに、情報掲出は文字情報で訴求するよりも、ビジュアル・映像で魅せる手法が主に使われていました。日本とは異なり、情報を提供することよりも会話を生み出すことを重視するため、商談のエリアもカフェやレストランのようなおもてなし空間がほとんどでした。 当日立つスタッフの説明のしやすさも大切ですが、何よりも来場者がどうやったら自分たちの企業の世界観に惹かれて訪れてくれるかを意識し どんなに閉鎖的でも中に入ってみようと思うパワフルなブースデザインになっていました。 今後日本でのイベント・展示会デザインにおいて、空間の持つパワーをうまく生かすために、造作のアイデアの引き出しを増やしていくことを続けていきたいと思います。 そして、どうしても決められた枠に留まってしまいがちですが、新たなデザインにチャレンジしていく姿勢を忘れないようにしていきたいです。 次回開催は2026年の3年後になります。 3年後はどんな展示会になっているのか、ますます期待が高まりますね。 では、次のレポートでお会いしましょう! Tschüss!

【ミライデザイン研究所】2023年春の特別企画「EuroShop2023視察レポート」【予習編】

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クリエーティブ本部 デザイナーのTです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、 予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 皆さんこんにちは。 今回より2023年春の特別企画、「EuroShop2023視察レポート」を開始いたします! 今回は"予習編"ということで、知っておくべき基本情報をご紹介いたします。 このユーロショップは、世界でも最も有名な展示会・見本市の1つです。 我々ジールの視点で、現地で見た開催の様子や考察をレポートしていきたいと思っております。 ぜひ楽しみにしていてください! 1.ユーロショップとは? 「EuroShop」とは、ドイツの見本市であり、1966年以後、3年に1度開催されています。 世界最大規模の"店舗設備"に関する見本市です。 前回のEuroShop2020では57ヶ国から約2,300社が出展し、142ヶ国から9万4千人を超える来場者を記録するなど、ますます国際性を高めています。 ↓2023年は、2/26-3/2の5日間開催されます↓ 2.開催場所 会場はドイツの「メッセ・デュッセルドルフ(Messe Düsseldorf)」で、なんと東京ビッグサイトの約2.5倍の総展示面積を保有しています! もちろん、1日では回りきれないような非常に広大な展示空間です。 3.展示カテゴリー 今年のユーロショップでは、エリアごとに出展社カテゴリーが8つに分かれています。 店舗設備と言いつつも、我々の業界にも親しみの深い店舗デザインから、販売器具や製造機器、マーケティング会社までかなり幅広くカテゴリーがあることがわかります。 特にホール10-12,13のエリアは普段の業務にも近い出展社が集まりそうですので、しっかりと視察していきたいと思っています。 世界中から出展社が集まるため、日本でも馴染み深い企業が出展しているかも要チェックです。 4.注目ポイント 2023年の開催は、コロナ禍以降初の開催になります。 今までにないデジタル分野に関係する最先端技術の出展も増えているのではないでしょうか。 また、日本の展示会と海外の展示会は仕様がかなり変わってきます。 海外でしかできないブース表現というディスプレイ方法にも注目です。 それでは、次回のレポート編をお待ちください。 (参考: https://www.bigsight.jp/visitor/company/newsrelease/2022/r8sk9200000002hp-att/r8sk9200000002jd.pdf) (参考: https://www.euroshop-tradefair.com) (参考: https://www.messe-duesseldorf.de) (参考:https://www.peru-retail.com/euroshop-2020-feria-comercio-minorista-mas-importante-del-mundo/) (参考:https://www.schweitzer-chemie.de/ueber-uns/referenzen-projekte/messe-duesseldorf)

【ミライデザイン研究所】3種類の体験で、ゴッホが見た世界を体感する【後編】

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クリエーティブ本部 デザイナーのTです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、 予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続きまして、 今回のトピックは、角川武蔵野ミュージアムで開催された「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」についてお届けいたします。 【第3会場:来場者をゴッホの世界に引き込む】 最後は無料エリアである「ひまわり畑のフォトスポット」についてです。 このエリアでは、「来場者を引き込むアイキャッチ」になっている事と、「展示を終わらせない空間」であることがポイントだと考えます。 会場であるグランドギャラリーには階段を降りて入っていくのですが、その際一番初めに目に入るのがこのエリアです。 壁面と床全体に広がるひまわり畑の美しさや迫力が、来場者をゴッホの世界へ引き込むアイキャッチの役割を担っていました。 第1会場と第2会場は、時間をかけてゴッホの世界に触れる場所ですが、 ここは一瞬で世界に引き込むための空間であるように感じました。 また、会場マップを見ると、第1会場への入口と第2会場の出口がどちらも第3会場に繋がっており、第3会場から第1会場に行き、 一周してまた同じ場所に戻ってくるという流れにより、明確な展示の終わりを感じさせないような構成になっていると感じました。 これによりゴッホの世界に居る体験を、より長く自然に続けることができるのだと思います。 撮影時には、ひまわりの花束や麦わら帽子を借り、より世界観に合った写真を撮ることができたり、 セルフィースタンドで人に頼らなくても撮れるよう気遣いがされていたり、来場者の目線で考えられた工夫が多く見られました。 【「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」が人気な理由】 これまで3つの会場について考察してきましたが、それを踏まえ、なぜ本展示が会期延長に至るほど話題になったのか考えると、 「3通りの体験が生む満足度」が大きな理由だと思い至りました。 近年、第1会場のような没入(イマーシブ)体験ができる展示は増えており、注目が高まっているものではありますが、 本展示のように、それ1つの表現方法にとどまらず、3通りもの体験ができる展示は特別だと思います。 第1会場「体感型デジタルアート劇場」では、ゴッホが見た世界そのものに入り込むような没入感のある体験。 第2会場の年表では、ユニークなグラフィックでゴッホの生涯を楽しく辿る体験。 そして第3会場のフォトスポットでは、迫力のあるひまわり畑で写真を撮るという体験。 これら全てを体験した後の満足度の高さは、ここでしか得ることのできない特別なものになり、 その満足度の高さこそが、本展示がここまで話題になった理由ではないかと考えます。 【まとめ】 今回は「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」について、考察や所感を述べさせていただきました。 複数の体験方法を組み合わせることの効果や、細かすぎるほど作り込まれたグラフィックの面白さなど、多くの発見がありました。 普段グラフィックデザインを行なっている身としては、第2会場の年表は特に見応えがあり、 ユニークなデザインの中に来場者が理解しやすいような工夫があることを発見でき、大変勉強になりました。 もしかしたら気付かれないかもしれない、という細部までこだわりを持って考えることが、時にはとても大事であると感じました。 今回の展示に限らず、実際に足を運ぶことで得られるものは数多くあるので、ぜひ様々な展示を体験してみてください。 私自身も、今後も様々な展示に足を運びたいと思います。 ※参考※ ・角川カルチャーミュージアム公式サイト ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー:https://kadcul.com/event/77

【ミライデザイン研究所】3種類の体験で、ゴッホが見た世界を体感する【前編】

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クリエーティブ本部 デザイナーのTです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回のトピックは、 前編・後編と角川武蔵野ミュージアムで開催された「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」についてお届けいたします。 角川武蔵野ミュージアムではグランドギャラリーにおいて、1100㎡以上の巨大空間をあますことなく、 映像と音楽で包み込む「体感型デジタルアート劇場」を開発しました。 本展示はその第2弾として、ファン・ゴッホが見た世界を会場の壁と床360度に投影された映像と音楽で追体験する展示となっています。 また、デジタルアート劇場に加え、年表と手紙と共にゴッホの生涯を辿る「ファン・ゴッホの手紙」、 無料エリアである「ひまわり畑のフォトスポット」があり、3つの会場でゴッホの世界を体験出来ます。 当初2022年11月27日(日)まで開催の予定でしたが、来場者が10月16日(日)までで15万人を突破し、 来場を希望する多くの声を受けたこともあり、2023年1月9日(月)まで期間が延長されました。 今回は先ほど述べた3つそれぞれの会場で、ゴッホの世界を体験するためにどのような工夫がされているのか、 そしてこの展示が多くの来場希望者を生み、期間延長まで至った理由を考察したいと思います。 【第1会場:来場者が完成させる空間】 まずは第1会場である「体感型デジタルアート劇場」についてです。 このエリアでは、「来場者がいることで完成する空間」になっていることが最も重要なポイントだと考えます。 ゴッホの絵画が壁や床にシームレスに投影され、音楽と映像によってゴッホが見ていた世界が表現されている空間で、 来場者が思いのままに鑑賞する姿が見られます。 おじいさんが森の中を歩き、カップルが座って海を眺め、街中で家族が写真を撮る。 中に人がいることで、絵画の世界に本当に人々が生きているような感覚を得る事ができ、幻想的な空間が完成するのだと感じました。 本展示の仕掛け人であるイマーシブアート クリエーティブディレクターのジャンフランコ・イアヌッツィ氏は、 「私は、観客をただ見るだけの鑑賞から解き放ちたいと思っています。それには観客自身がショーの不可欠なピースとなり、 巨大なステージ上の登場人物であると感じてもらうことが大切だと考えています。」と述べており、 その思いがしっかり組み込まれていると感じる空間でした。 【第2会場:飽きさせないグラフィック】 続いては、年表と手紙と共にゴッホの生涯を辿る「ファン・ゴッホの手紙」です。 このエリアでは、「飽きさせない細かいグラフィック」と「読まずとも理解できる年表」が重要なポイントだと考えます。 第1会場でゴッホの世界に入り込んだあとは、年表で詳しくゴッホの生涯を見ていきます。 一般的な展示会にある説明文の多くは、文字が小さかったり文章が長かったりと、読むうちに疲れてしまう、 そもそも読む気にならないと感じる人が少なからずいると思います。 それに対しこちらのエリアでは、じっくり読まずとも理解でき、飽きさせないための細かい工夫がいくつかあったので、 その中から2点ご紹介させていただきます。 まず一つ目は、赤い折れ線と表情イラストです。 ゴッホの感情の起伏を、折れ線グラフのような線とユニークな表情イラストで表現しています。 表情イラストは同じものがないのではというほどパターンが作られており、一つ一つ見ていく楽しさがありました。 この赤い折れ線と表情イラストにより、幸せな時や思い悩んでいる時などの流れを直感的に理解することができます。 二つ目は、説明文を一言でまとめたテキストと、変化していくフォントです。 先ほど、説明文が長いと読む気にならない人がいると述べましたが、こちらでは説明文の印象的な言葉や要点を壁面上部に大きく出し、 細かい文を読まなくても出来事が理解できるようになっていました。 また、上の写真はこのエリアの序盤のグラフィックで、文字はゴシック体で統一されているのですが、 年表が進むにつれてフォントに変化が出てきます。 こちらは終盤のグラフィックです。 言葉一つ一つのフォントが変えられており、違和感と面白さを感じるような文字になっています。 ゴッホは思い込みや感情の起伏が激しい部分があり、波瀾万丈な人生を歩んでいたようで、徐々に精神的に不安定になっていく様子を、 フォントの変化で表現したのではと考えます。 他にも、ゴッホの絵画をモチーフにしたフォトスポットがあったり、年齢をひまわりの本数で表現していたりと、 多くの飽きさせない要素がありました。 出来事を直感的に理解させる年表の工夫と、細かい遊びのあるグラフィックが、 見ていて飽きない、疲れさせない展示にする重要なポイントだと感じました。 (後編に続きます) ※参考※ ・角川カルチャーミュージアム公式サイト ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー:https://kadcul.com/event/77

【ミライデザイン研究所】空間におけるコラージュ表現の可能性-後編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのMです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、 予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続きまして、 今回のトピックは、世界に誇る日本の建築家が手掛ける建築物である、藤本壮介氏「東京アパートメント」についてお届けいたします。 【東京アパートメント】 「東京アパートメント」は東京都板橋区の集合住宅に立地し、 一般的な三角屋根の家を動かしながら重ねたような外観が特徴の建築物です。 地下がRC造それ以外は木造というシンプルな構造ですが、5つの家が複雑に重なっており建築の可能性を広げた作品だと感じました。 家型の躯体の積層とズレより外と内の間に中間領域が生まれ、街の中にいるのか外にいるのかわからなくなる空間となっています。 これこそが「東京らしさ」という藤本壮介氏の考え方が表現されている部分だと感じました。 また、この中間領域はロフトもあれば、梯子や外階段といった動線に繋がる部分であったりと様々な形状で構成されています。 【まとめ】 意匠だけでなく、環境や使い手、構造、その建物の現在と未来、作るもの一つ一つにしっかりとしたコンセプトがあり、 その上でカッコ良いデザインを作ることが本来のデザイナーの姿であるべきだと思いました。 これは我々の業界にも通じる話であり、クライアントの意向、人の動線、商品の見せ方、環境、構造等、 これらの条件をしっかり抑えた上でコンセプトを考え形作ることで、総合的に説得力のある美しいデザインになっていくと思います。 これからも様々な建築物やデザインを見て学び、吸収し、 クライアントの求めるものを超えたデザインを提案できるデザイナーになっていきたいです。 今回、世界に誇る日本の建築家として「隈研吾氏」と「藤本壮介氏」を選ばせていただきましたが、他にも沢山の建築家・建築物があります。 是非、皆さんも様々な建築物を見学しにいっていただけたらと思います。 ※藤本壮介氏「東京アパートメント」概要※ ・東京都板橋区のごく一般的な住宅街に立地している。 ・四角い箱に三角の屋根という、多くの人が思い浮かべる家の形をした部屋が5つあり、 それが少しずつ動かして重ねたような外観が人目を引く。

【ミライデザイン研究所】空間におけるコラージュ表現の可能性-前編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのMです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、 予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回のトピックは、世界に誇る日本の建築家が手掛ける建築物である、 隈研吾氏「サニーヒルズ南青山」と藤本壮介氏「東京アパートメント」の2つをお届けします。 一般的に「設計=エンジニアリング」「デザイン=見た目の形作り」と別のプロセスとして捉えられてしまうことが度々あります。 しかし、課題を解決する設計とそれに相応しいデザインを合わせた「ものづくり」という観点では、 どちらも必要不可欠であり、別々に捉えてはいけません。 そのプロセスの中で大切な「意匠」と「環境」で、この二つの空間における融合について考察していきます。 【サニーヒルズ南青山】 こちらは隈研吾氏が手がけた「サニーヒルズ南青山」 外観のデザインが特徴的で、伝統的な日本の木工技術「地獄組」と呼ばれる木製建具の接合システムを建築の内外に拡張した建築物です。 使われている木材は装飾でもあり各階の床を支える構造体で、静かな住宅街の中でも異彩を放っています。 木材が複雑に絡みあっていますが、一定の法則に従って組み込まれています。 これは人間が心地よいと感じる「ゆらぎの法則(1/f f:振動の多さ)」に近いものがあると感じました。 自然と目に入り、惹かれて、一度見たら忘れさせないデザインです。 内部は森の木漏れ日のような静かな空間が広がっており、中で過ごす人に居心地の良さを感じることができます。 最寄駅の外苑前駅から徒歩10分、表参道駅から徒歩15分の住宅街にある建築物(現在はケーキショップ)だが、その独特な外観から外国人などの観光客が非常に多く訪れていました。 ※隈研吾氏「サニーヒルズ南青山」概要※ ・東京都港区にある建物である。 ・60mm角のヒノキによる「地獄組み」と呼ばれる木組みは、単なる装飾ではなく、床や屋根の荷重を支える構造体でもある。 ・現在はケーキショップとして使用されている。

【ミライデザイン研究所】空間におけるコラージュ表現の可能性 -後編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのSです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 中編に引き続き、瀬戸内国際芸術祭2022の作品、 「女根 / めこん」「家プロジェクト:はいしゃ」についてお届けいたします。 【記憶のコラージュ:満遍なく展開させた一つのキーワード】 「媒体のコラージュ」や「文化のコラージュ」より中心のコンセプトとする「記憶のコラージュ」は、 作品において最も重要な考え方になっていると考えます。 三つの作品とも、その島ならではの精神と記憶を元に1つのキーワードで空間を設計されています。 「はいしゃ」では、かつて歯科医院ということで「歯」をテーマに展開していました。 こちらはビルに入る前にある階段の砂壁です。 アイコンとなる各種歯のペンティング・タイルだけではなく、 壁に近づいてじっくり見ると小さいな陶器製の歯が所々埋め込まれています。 また、ビルの中の床には、歯のレントゲン写真が散らばっています。 そして、左の黒い部屋に入ると、巨大な黒い歯のインストレーションが現れます。 ペイティング・陶器・写真・インストレーションといった異なる表現で 「歯」というテーマを貫通させ印象的なアイデアの展開になっています。 「めこん」では、女木島の「生命力」というコンセプトだと思われます。 学校の核としての中庭には、島で育った大きな椰子に赤いフレームで囲まれ、 スクラップや船材などのパーツを再構築することで女木島の精神を表現していると思います。 天辺に風で回転する「めこん」のアイコンのようなものは、 島の呼吸と共振して生きているというような印象を受けました。 そして「I♥湯」では、島の高齢者が自宅での入浴が難しくなっているので銭湯が欲しいという声が上がりました。 そこで、国内外の来島者と島民が交流できる場というコンセプトの銭湯を作るに至ったそうです。 直島の象徴としてこの銭湯が認識されています。 「めこん」と同じく島で育った椰子をそのまま空間に活かし、 島の岩・海・波などのモチーフを書かれたタイルをたくさん飾られていました。 タイルの周囲にリゾット風のサンメントをバランスよく配置することで、 暖かくエキゾチックな南国情緒をあふれる空間になります。 【まとめ】 コラージュという手法だからこそ、色々な要素を組み合わせても成り立つというのもありますが、 異なる素材の遊びから配色の冒険、そして極めたコンセプトの展開まで勉強になり、 ちょっとした変わったデザインを作りたい際に良い手本となる作品だと思います。 島での展示は普段都内の美術館では馴染まない珍しい表現手法がたくさん見られて楽しいので、 ぜひ来年の瀬戸内国際芸術祭まで足を運んでいただけたらと思います。 【参考】 ▼瀬戸内国際芸術祭2022 https://setouchi-artfest.jp ▼北川フラム×大竹伸朗、銭湯やラブホテル...日本の“ローカル”に見い出す新たな価値観【対談2/2】 https://www.fashion-headline.com/article/5014 ▼「2,000個の陶器製の歯」が出迎える――大竹伸朗「はいしゃ」追加制作ドキュメント https://benesse-artsite.jp/story/20210825-1771.html

【ミライデザイン研究所】空間におけるコラージュ表現の可能性 -中編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのSです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編の「直島銭湯『I♥湯』」に引き続き、 瀬戸内国際芸術祭2022の作品、「女根 / めこん」「家プロジェクト:はいしゃ」についてお届けいたします。 【文化のコラージュ:広く愛される無国籍らしい空間】 大胆な媒体の使用以外にも、 異なる文化の背景の持つ要素を切り抜き再構成させる「文化のコラージュ」という手法を観察しました。 こちらは「はいしゃ」の中の風景です。 古民家にこのような巨大の自由の女神像を置こうと思う人はなかなかいないと思いますが、 実際に見ると何となく似合っています。 アメリカ文化の象徴である自由の女神像が日本の民家に突然現れるというのは、 米国をはじめとして異文化をたくさん受け入れている多文化を融合した現代の日本の姿を連想させます。 実は作者によると、以前地方の国道沿いでこのような巨大な自由の女神像を見かけ、 なぜ日本人はこのようなものを建てたいのか気になっていたところ、 その後、レンタルビデオ店で看板として使われた自由の女神像を偶然見つけて、手に入れたという経緯があるそうです。 「めこん」の中庭でも女神像が置かれており、吊り下げのネオンやコラージュ写真を埋め込まれているアクリル床があります。 周囲の道に貼られているタイルをよく観察すると、 タイ語・英語・中国語・日本語が書かれたレトロなフライヤーを切り抜いた画像が見えます。 全体的にネオングリーン・ネオンピンクの配色になっている廊下や、 光の反射でカラーを空間に染めつけるステンドグラスとシックな宇宙的な空気感が生まれています。 一般的には世界観の混乱を避けるために異文化の要素を同じ空間に配置しないのですが、 外国人がたくさん来場する瀬戸内国際芸術祭という場所では、このように様々な文化を取り入れたことで、 誰にも愛される空間になっていると感じます。 後編では、「媒体のコラージュ」や「文化のコラージュ」より中心のコンセプトとする「記憶のコラージュ」についてご紹介します。 【参考】 瀬戸内国際芸術祭2022公式HP:https://setouchi-artfest.jp/

【ミライデザイン研究所】空間におけるコラージュ表現の可能性 -前編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのSです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回のトピックは、瀬戸内国際芸術祭2022でアーティストの大竹伸朗が手がけた 「直島銭湯『I♥湯』」、「女根 / めこん」、「家プロジェクト:はいしゃ」という三つの作品についてお送りいたします。 以下、三つの作品の概要です。 ■直島銭湯「I♥湯」(以下、I♥湯) ・鮮やかな天井画を再制作 実際に入浴できる美術施設。 町民の活力源として、また国内外からのお客様との交流の場としてつくられた。 (瀬戸内国際芸術祭2022公式HPより) ■女根 / めこん(以下、めこん) ・校舎から校庭まで大竹テイストが随所に 島で育った大きな椰子の周りに、タイルのモザイクやワニのオブジェ、船材などを配置。 休校中の小学校と植物、作品が響き合う。 (瀬戸内国際芸術祭2022公式HPより) ■家プロジェクト:はいしゃ(以下、はいしゃ) ・家プロジェクト 直島特有の家屋や寺社などを改修し、現在も生活が営まれる地域で、空間そのものを作品化。現在では7軒が公開中。 ・感覚からたどる夢の記憶の過程がテーマ かつての歯科医院兼住居を作品化。 ペインティングやスクラップなど、多様なスタイルによる作品。 (瀬戸内国際芸術祭2022公式HPより) 大竹伸朗はコラージュという表現手法が知られており、 今回の瀬戸内国際芸術祭における三つの作品はただ絵画の技法としてのコラージュだけではなく、 島の精神と既存の空間を踏まえて異なる素材や要素を取り入れた空間になります。 そこで、「媒体のコラージュ」、「文化のコラージュ」、「記憶のコラージュ」 という三つの観点から空間におけるコラージュの可能性を考察していきたいと思います。 【媒体のコラージュ:カオスから生まれた圧倒的なエネルギー】 こちらはかつて歯科医院だった「はいしゃ」という作品の外観です。 解体されたスクラップでビルの外観を構成しており、その上に枯れた木が象徴的に配置されています。 島本来の緑の中に、金属スクラップの一軒家が現れるという有機物と無機物の組み合わせが力強く響き合っています。 ビルの中に入ると、壁は狂気に溢れたドローイングに覆われており、 厚く重なったり垂らしたりしているアクション・ペイティングが見られます。 右に曲がると、青いペイティングで仕上げた青い部屋があります。 古民家本来の控え目の素材の上に、抽象的なペイティングを加えたことで、 豊かなテクスチャのレイヤーを作り出せて飽きない鑑賞体験になっていると感じます。 また、休校になっている学校を丸ごと作品化された「めこん」でも同じ手法が見られます。 廊下には切られた太い幹が埋められ、 ペインティング・タイルやネオンカラーに染めた天井のステンドグラスという有機物と無機物の素材がお互いに反射し合っています。 こちらは直島の銭湯「I♥湯」の外観です。 夜になって島の最も光っているパワースポットになるネオンの看板、 そして空まで伸びた「ゆ」文字は聳え立った両側の椰子と共鳴する不思議な衝突感を与えつつ、暖かい南国らしさが感じられます。 このように異なる媒体を同じ空間に配置することで、 普段目にしない素材の組み方なのでカオスから生まれる圧倒的なパワーを伝えられとても新鮮で魅力的です。 中編では、異なる文化の背景の持つ要素を切り抜き、 再構成させる「文化のコラージュ」という手法についてご紹介します。 【参考】 瀬戸内国際芸術祭2022公式HP:https://setouchi-artfest.jp/

【ミライデザイン研究所】能動的に鑑賞してしまう展示方法と空間についての考察 -後編-

インサイドジール

クリエーティブ本部 デザイナーのNです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、今回のトピックは、 東京オペラシティアートギャラリーで開催されていた「ライアン・ガンダー われわれの時代のサイン」です。 身近な事柄を鋭く観察・分析して制作される彼の作品は、私たちにさまざまな問いを抱えさせます。 「あたりまえ、これってなんだっけ?」 大まじめに、しかしユーモアを交えて「そもそも」を考えるきっかけをつくるのは、ガンダーの作品の真骨頂です。 この展示自体「見る」ことについての考察が一つのテーマになっています。 会場にはオブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像など多岐にわたり作品が展示されていて、ただ鑑賞しやすい見せ方ではなく、 来場者が能動的に鑑賞する必要がある展示方法、見せ方が設計されていました。 これはガンダーの真骨頂である、「当たり前を問う姿勢」が、展示方法や空間の使い方にも表れていたからだと感じました。 (前編より) なぜ能動的に鑑賞してしまうのかを、ガンダーのユーモアあふれる展示方法、空間の使い方の観点から考察しています。 【ポイント3:当たり前を利用する】 こちらはガンダーが美術館の所蔵作品の鑑賞方法を新しく考えた展示です。 美術館は本来明るい空間で作品を鑑賞させるというのが良く作品を見せるためにとられる一般的な手法ですが、ガンダーは違いました。 来場者に懐中電灯も持たせ作品を探しながら、展示空間をまわる手法を用いたのです。 これは、来場者に作品を探す探検家や探偵のような気分にさせる意図からの展示方法だと推察します。 見えないからこそ、探したくなる、見つけたくなるような人間の好奇心がくすぐられる展示になっていたと思います。 ガンダーらしい、当たり前を崩し新しい見方を提示するユーモアを感じる鑑賞体験でした。 【まとめ】 この展示の固定概念にとらわれることのない展示方法、空間の使い方などを体験し、 自由な発想の面白さ、楽しさ、重要性に気付かされました。 また、ガンダーの作品は作品名も変わっていて、ランダムに言葉の羅列から名前を決めた作品や作品と名前が一致しているものもあり、 作品名すらも来場者に考える、気になるきっかけを与える要素にしているのが、面白いと感じました。 空間、展示方法、名前、当たり前など様々な手法を用いて、子どものように遊んでいるかのような彼の姿勢は 人としてもデザイナーとしても参考になりました。 ライアン・ガンダーは時々、日本で個展を開いたりしていますので、 機会があれば是非彼のユーモアあふれる世界を体験していただけたらと思います。

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