インサイドジール

【ミライデザイン研究所】素材で七色の変化をもたらす没入体験 -中編-

2022.07.13

クリエーティブ局 デザイナーのSです。

【ミライデザイン研究所】とはーーー
空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、
考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。

前編に引き続き、東京都立川市のPLAY!MUSEUMで開催中の「コジコジ万博」についてお送りいたします。

今回は体験を通してメルヘンな世界へと引き込む要素を2つの視点から考察していますが、
1.誰もが楽しめる企画・会場構成
2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える

のうち、中編では2.についてお送りします。


 

2.アナログとデジタルの融合で新たな体験価値を与える
全体の構成を知っていただいたところで、細かい造作にも目を向けていきたいと思います。
先ほども触れた「世界観の表現」は来場者の心を掴むために最も重要な部分になってきます。
昨今ではプロジェクションマッピングなどで映像を大胆に投影することに注目が浴びていますが、
それだけでは似たような空間が生まれてしまい体験価値を短調にさせてしまいます。
そこで本展ではアナログとデジタルの技術を上手く活用することで、PLAY!MUSEUMならではの
ここでしか味わうことのできない空間づくりを3つのアリアを紹介していきながら深掘りしていきます。

まずは入り口です。独特な造作と色使いからなるゲートは通れる高さが150cm程で、大人の胸元くらいしかありません。
子供からは大きな門を潜るような感覚で、大人は少しかがんで通った後、その先の広々とした空間と相まってより一層没入感を高めます。
一度目線を落として誘導させるのは、わざと入り口を狭くしている隠れ家的カフェなどでも使われる有効な手法だそうです。
そうすることで目線に振り幅が生まれ、空間にダイナミックさをもたらすことができます。
これらが本展でも感じ取れ、次のエリア②からは大きな木やもこもこの雲に囲まれた緑の道が存分に広がってきます。

ここで注目したいのが素材です。主に紙や段ボール、発泡スチロールなどから構成されていて、
凹凸をつけてキャラクターや名シーン、セリフを会場全体に細かく配置していくことで独特な世界観が広がっていました。
ここでも目線の移動が頻繁に行われるように工夫されていて、歩みを進めるたびにキョロキョロと見渡してしまいます。
そこはまるでコジコジたちが暮らす不思議な世界観「メルヘンの国」に入り込んだような感覚を与えます。
しかしその中でも一番際立っていたのが、プロジェクションマッピングで投影された主人公コジコジです。
大きな顔で構成されたコジコジにはインパクトがあり、表情が変わることで次のエリアにワクワク感を与えてくれます。
この時、一部分を映像で表現することはとても有効だと感じました。
もしエリア全体が段ボールなどの素材だけで構成されていたら、来場者にチープな印象を与えていたかもしれません。
素材に振り幅を与えることで空間に動きをもたらしてくれる、そのような使い方が映像表現でできるのではないでしょうか。

また「⑥モヤモヤトンネル」から先も、素材を上手く活かした手法で来場者の心を掴んでいました。
明るい道を歩いて鑑賞する所と、一変して暗く座ってじっくりと堪能する所に分かれています。
作中に出てくる登場人物の「モヤモヤな感情」を一体どのように空間に落とし込んで体感させているのでしょうか。
まず歩くゾーンでは白い布地で覆われたトンネルに映像がマッピングされており、
風でひらひらと布が揺れ映像が歪んで見えるものとなっています。
徐々にアップになっていくコミック調の映像が布地とともに動くことで、
それはまさにモヤモヤ感とメルヘンな世界観を存分に味合わせてくれるものとなっていました。
トンネルを抜けると野外シネマをイメージされた、座って鑑賞するものへと一変します。
ここでも複数ある雲の形にだけ映像を投影することで、来場者はどこから鑑賞するかを選択することができます。
それは映像から情報を全て受け取るのではなく、自らが鑑賞しているという感情をもたらすことができるので、
体感的に物語を知っていくことに繋がってきます。

(後編に続きます)


 

企画展示「コジコジ万博」 (PLAY! Museum):https://play2020.jp/article/cojicoji/