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【ミライデザイン研究所】能動的に鑑賞してしまう展示方法と空間についての考察 -後編-

インサイドジール

クリエーティブ本部 デザイナーのNです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、今回のトピックは、 東京オペラシティアートギャラリーで開催されていた「ライアン・ガンダー われわれの時代のサイン」です。 身近な事柄を鋭く観察・分析して制作される彼の作品は、私たちにさまざまな問いを抱えさせます。 「あたりまえ、これってなんだっけ?」 大まじめに、しかしユーモアを交えて「そもそも」を考えるきっかけをつくるのは、ガンダーの作品の真骨頂です。 この展示自体「見る」ことについての考察が一つのテーマになっています。 会場にはオブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像など多岐にわたり作品が展示されていて、ただ鑑賞しやすい見せ方ではなく、 来場者が能動的に鑑賞する必要がある展示方法、見せ方が設計されていました。 これはガンダーの真骨頂である、「当たり前を問う姿勢」が、展示方法や空間の使い方にも表れていたからだと感じました。 (前編より) なぜ能動的に鑑賞してしまうのかを、ガンダーのユーモアあふれる展示方法、空間の使い方の観点から考察しています。 【ポイント3:当たり前を利用する】 こちらはガンダーが美術館の所蔵作品の鑑賞方法を新しく考えた展示です。 美術館は本来明るい空間で作品を鑑賞させるというのが良く作品を見せるためにとられる一般的な手法ですが、ガンダーは違いました。 来場者に懐中電灯も持たせ作品を探しながら、展示空間をまわる手法を用いたのです。 これは、来場者に作品を探す探検家や探偵のような気分にさせる意図からの展示方法だと推察します。 見えないからこそ、探したくなる、見つけたくなるような人間の好奇心がくすぐられる展示になっていたと思います。 ガンダーらしい、当たり前を崩し新しい見方を提示するユーモアを感じる鑑賞体験でした。 【まとめ】 この展示の固定概念にとらわれることのない展示方法、空間の使い方などを体験し、 自由な発想の面白さ、楽しさ、重要性に気付かされました。 また、ガンダーの作品は作品名も変わっていて、ランダムに言葉の羅列から名前を決めた作品や作品と名前が一致しているものもあり、 作品名すらも来場者に考える、気になるきっかけを与える要素にしているのが、面白いと感じました。 空間、展示方法、名前、当たり前など様々な手法を用いて、子どものように遊んでいるかのような彼の姿勢は 人としてもデザイナーとしても参考になりました。 ライアン・ガンダーは時々、日本で個展を開いたりしていますので、 機会があれば是非彼のユーモアあふれる世界を体験していただけたらと思います。

【ミライデザイン研究所】能動的に鑑賞してしまう展示方法と空間についての考察 -前編-

インサイドジール

クリエーティブ本部 デザイナーのNです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続き、今回のトピックは、 東京オペラシティアートギャラリーで開催されていた「ライアン・ガンダー われわれの時代のサイン」です。 身近な事柄を鋭く観察・分析して制作される彼の作品は、私たちにさまざまな問いを抱えさせます。 「あたりまえ、これってなんだっけ?」 大まじめに、しかしユーモアを交えて「そもそも」を考えるきっかけをつくるのは、ガンダーの作品の真骨頂です。 この展示自体「見る」ことについての考察が一つのテーマになっています。 会場にはオブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像など多岐にわたり作品が展示されていて、ただ鑑賞しやすい見せ方ではなく、 来場者が能動的に鑑賞する必要がある展示方法、見せ方が設計されていました。 これはガンダーの真骨頂である、「当たり前を問う姿勢」が、展示方法や空間の使い方にも表れていたからだと感じました。 (前編より) なぜ能動的に鑑賞してしまうのかを、ガンダーのユーモアあふれる展示方法、空間の使い方の観点から考察しています。 【ポイント3:当たり前を利用する】 こちらはガンダーが美術館の所蔵作品の鑑賞方法を新しく考えた展示です。 美術館は本来明るい空間で作品を鑑賞させるというのが良く作品を見せるためにとられる一般的な手法ですが、ガンダーは違いました。 来場者に懐中電灯も持たせ作品を探しながら、展示空間をまわる手法を用いたのです。 これは、来場者に作品を探す探検家や探偵のような気分にさせる意図からの展示方法だと推察します。 見えないからこそ、探したくなる、見つけたくなるような人間の好奇心がくすぐられる展示になっていたと思います。 ガンダーらしい、当たり前を崩し新しい見方を提示するユーモアを感じる鑑賞体験でした。 【まとめ】 この展示の固定概念にとらわれることのない展示方法、空間の使い方などを体験し、 自由な発想の面白さ、楽しさ、重要性に気付かされました。 また、ガンダーの作品は作品名も変わっていて、ランダムに言葉の羅列から名前を決めた作品や作品と名前が一致しているものもあり、 作品名すらも来場者に考える、気になるきっかけを与える要素にしているのが、面白いと感じました。 空間、展示方法、名前、当たり前など様々な手法を用いて、子どものように遊んでいるかのような彼の姿勢は 人としてもデザイナーとしても参考になりました。 ライアン・ガンダーは時々、日本で個展を開いたりしていますので、 機会があれば是非彼のユーモアあふれる世界を体験していただけたらと思います。

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