ユーロショップ2020視察まとめ

インサイドジール

全会場を通して、「体験」させるようなブースはあまりなかったのですが、デザイン側の製品理解が十分にできており、製品の見せ方に見とれてしまうものばかりでした。 自分自身、ブース全体の大枠からデザインを考えることが多くなりがちなのですが、製品からブースを、というスケールを行き来することが重要であるということを再認識しました。 受付カウンターや什器1つとっても単純なボテ箱というものは少なく、やはりブースのイメージコンセプトに合ったものになっており、細部までのこだわりを感じました。 普段頻繁に使う木工・システム・間接照明をとっても、既成概念にとらわれ過ぎていて、経験則から成る”これはこんなものだろう”というような固定観念が提案の幅を狭めているように感じました。 デザイナーとして、自らの表現にブレーキかけずに実現できるようにマテリアルや部材、新商材に対してもっと知見を持つことでより提案に幅や深み、面白さが出てくるのではないかと思います。 ユーロショップは総じて吊り構造が基本のため、柱が少なく普通は落ちる場所に柱が落ちないことで、開放感とともに空間をより大きく感じることができました。 海外のスタンダードや海外の常識、トレンドをインプットして知見を広げることで、視野視点も広がり、より多くの情報を得ることができました。 今後もよりアンテナを広くして、よりよいデザインをしていきたいと思います。

ユーロショップ2020視察⑤

インサイドジール

今回は、Hall1.3.6.7.15-17を紹介させていただきます。 まずはHall1.3 Retail-Marketing(小売・マーケット)から紹介いたします。 基本的にサイズ感も日本の展示会に似たような展示会でした。 続いてHall15-17 Refrigeration-&Energy-Management(冷凍&エネルギー管理)です。 スーパーマーケットの一部分を模したようなものが多かったです。 最後にHall3.6.7a.7 Retail-Technology(小売・テクノロジー)の紹介です。 展示会の内容的には日本でいうIT weekのようなものでした。 ユーロショップ2020視察②で紹介させていただいたHall4・5同様、ファブリックで構成されているブースがとても多かったです。 施工が雑なブースも多々見受けられました。 そんな中とてもカッコいいなと思った商談エリアがこちら! 上部が開いていることで重くない印象を与えつつ、円形のため周囲からの視線をうまく遮っており、コミュニエーションも円滑に進みそうだなと感じました。 Hall3.6.7a.7 Retail-Technology(小売・テクノロジー)も、比較的日本の展示会に近しい部分が多いと感じました。 要所要所の空間の使い方、ダイナミックさはとても勉強になるものが多かったです。

ユーロショップ2020視察④

インサイドジール

今回はHall10-14 Shop-Fitting&Store-Design(建材展・店舗設計)を紹介させていただきます。 Hall4, 5とはうってかわってファブリックのブースは少なく、木工をベースに建てられたブースが並んでいました。 内装・商業施設の要素に、展示会装飾ならではの自由な要素が加わったブースの数々は興奮の連続でした。 ★BROSZEITブース 等高線のように積まれたブース。 中心の受付に向かって4つの積まれたタワーが上部で1つになっています。 この等間隔に積まれた木はよく見ると厚みが違います! このブースは木の販売をしている企業で、積まれた木一つ一つが商材なんだということでした。 製品理解とブースデザインがうまく1つになっている例だと感じました。 ★HEIKAUS ARCHITEKTURブース 巨大なブースを、家型モチーフで小口に色をつけるなどして統一感を出しながら分かりやすくゾーン分けをしていました。 ★umdaschブース とても大きいブースなのにもかかわらず、入り口が一つしかなく、中央の商談エリアを中心にぐるっと一周する強制動線で構成されていました。 ↓中央の商談エリア ブースの中に、屋台のように小さな陳列棚や小エリアが点在していました。 ↓barエリア 会場内で、このブースのbarエリアが一番迫力があったように思います。 ★SHARED SPACESブース 中央に大きなcafe エリアがあり、その周囲に様々な製品が展示されていました。 規模的にもしつらえ的にも商業施設そのものでした。 他に、部分的に面白かった展示もいくつか紹介いたします。 ★KREFTブース 狭小住宅のようにブースとブースの間に挟まれたw1500×d4500ほどの小さいブース。 上部のルーバーと床の貼り分けにより、小さいながらも、強い印象を受けました。 ブース全体にバランスボールが敷き詰められていたり、 3Dプリンターの企業によるガリバー旅行記のような展示。 マネキンがモニターを設置しようとしている様子。 芝の表現を壁や什器の下にも施していたりと、部分的に見ても面白いブースがたくさんありました。 次回はまだ紹介できていない残りのホールのブースを一挙紹介します!

ユーロショップ2020視察③

インサイドジール

今回はHall9,10 Lightingの展示の紹介をさせていただきます。 前記事のHall4,5と異なり、全体的に暗くされたホールで照明が際立つような様々な展示がされていました。 ★FEELUXブース 上物の4層の間接照明が非常に綺麗でした。 全体的に間接照明で構成されている中、3Dボードにも一段と陰影が付き綺麗にディスプレイされていました。 ★Oktaliteブース 全体がルーバーによって構成されていたこのブース。 人通りの多い通路に対しては巨大なbarが商談エリアとして構えられており、その奥の連続した光のルーバーを抜けると、、、 実際に照明がどのようにして使われているのかを見ることができる展示エリアにつながっていました。 アパレル・スーパーマーケット・コンビニ等の様々な業態を天高(照射距離)を変えながら空間で表現しているのがわかりました。 ★RD LEUCHTEN AGブース ブース全体を、中が透けて見える布で覆うことで、中で何をしているのか?中に入りたい、という気持ちが湧き起こるデザインでした。 全体的に実験室のようなコンセプトで白基調の空間に、青がとても綺麗に映えていました。 ★BARO Retail Litingブース 壁面の光が円の上に沿って回っていきます。 壁面に書かれているのは製品名で、その製品名の場所で、その回っている光の強さや色味がその製品のものになるという仕掛けが面白かったです。 中央の展示は、自分でスイッチをON/OFFしながら見られるもの。 個人的に、商談エリア上物の絶妙な隙間が素敵でそそられました。 ★ledxonブース ファサードのフェンスは全部が金物というわけではなく、縦桟と横桟は木で押さえているだけでした。 内部はセレクトショップのような見た目で木目と黒フレームで構成されており、無骨でとてもかっこよかったです。 OSBボードの黒塗装が空間にアクセントを加えていました。 ★quattrobiブース このブースの社名サインは興味深いものでした。 普通なら抜き行灯でロゴ側に乳半アクリル等を付けるのが一般的なのですが、これは少しロゴの切り抜きの奥に黒いロゴがあり、その間に間接照明を入れることで文字の中ににもやがかかり、面白い表現をしていました。 このホールでは照明の重要さを再認識したと同時に、照明=地明かり・照らすもの、ではなく製品をさらに上手に見せることができるアイテムとして捉える必要があると感じました。 次回はHall10-14 Shop-Fitting&Store-Design(店舗設計)を紹介させていただきます。

ユーロショップ2020視察②

インサイドジール

今回はHall4,5 Expo&Event-Marketing(イベント・マーケティング)の展示内容を紹介していきたいと思います。 Hall4,5は分かりやすく言うと、イベント・展示会の部材屋さんの展示エリアでした。 特に多かったのがファブリックです。 基本的に吊り構造では、軽くて施工が容易なファブリックが主流のようです。 このブースはグラフィックもとても綺麗で、行灯としても綺麗に光っていました。 吊り構造のため柱を落とさずに済み、全体的に開放的でスッキリとしたものが多かった印象です。 ★日本でもよく使われている部材を扱うオクタノルム社のブースです こちらは吊り構造ではなく、全て自社のマキシマとファブリックを使用し全体のブースを構成していました。 自社の新部材オクタリグを使うことで最大13mの梁を飛ばすことができるそうです。 柱の数も、この規模で80角のものが8本しかないとは驚きでした。 ↓オクタリグ 中の円形照明もファブリックを使用し、オクタリグから吊っていました。 ちなみにファブリックはUV印刷で、黒部分は3回刷りをすることで光を全く通さなくなるそうです。 ★SYMAブース 自社部材で2階建てを構成しながら、ファサードをパラメトリックにデザインされていました。 その他のブースの紹介です。 こちらは単管とターポリンのようなものでブースが構成されていました。 プレゼンテーションをバランスボールに座りながら聞いている様子も、ラフで入りやすい印象を醸していました。 このブースでは白いファブリックの後ろの影がゆらゆら動いていました。 文字を吊るしているため、文字が揺れるとファサードの文字も同じく揺れて、通行人の目を引いていました。 ワッフル構造のブースです。 柱の一部に鏡を用いることで、圧迫感を感じさせない作りになっていました。 トラスの代わりにH鋼を使うことで、スケルトン住宅のような表現をしていました。 ベロア素材を分割された木に1つ1つ巻きつけ、壁のテクスチャーとして利用していました。 Hall4,5は7-8割のブースがファブリックを使用しており、また大判出力や大型LEDが数多くあったことが特徴的でした。 展示会やイベントのブース部材会社が数多く出展していたこともあり、ブース自体と製品の親和性が高く、興味深いブースが多くありました。 次回はHall9,10 Lightingの紹介をさせていただきます。

ユーロショップ2020視察①

インサイドジール

2020年2月16日(日)~20日(木)までドイツ・デュッセルドルフで開催された、店舗用資機・販促ツール・展示会資機材の世界最大級の展示会「ユーロショップ2020」を視察してきました。 メッセデュッセルドルフは17ホールから構成され、約26.2万㎡(世界8位の大きさ/東京ドーム5つ分)の広さを誇ります。 ※東京ビッグサイトは約9.5万㎡で世界78位 今回はそのうちの15ホールが使われていました。 ・Hall1.3 Retail-Marketing(小売・マーケット) ・Hall3.6.7a.7 Retail-Technology(小売・テクノロジー) ・Hall4.5 Expo &Event-Marketing(イベント・マーケティング) ・Hall9.10 Lighting(照明) ・Hall10-14 Shop-Fitting &Store-Design(店舗設計) ・Hall15-17 Refrigeration-&Energy-Management(冷凍&エネルギー管理) 大きく分けて6つのエリアに分かれていましたが、さすが世界8位だけあって、とても1日では全てを見て周ることができない広さでした。 次回から、実際の展示内容をご紹介していきたいと思います。