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【ミライデザイン研究所】3種類の体験で、ゴッホが見た世界を体感する【後編】

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クリエーティブ本部 デザイナーのTです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、 予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続きまして、 今回のトピックは、角川武蔵野ミュージアムで開催された「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」についてお届けいたします。 【第3会場:来場者をゴッホの世界に引き込む】 最後は無料エリアである「ひまわり畑のフォトスポット」についてです。 このエリアでは、「来場者を引き込むアイキャッチ」になっている事と、「展示を終わらせない空間」であることがポイントだと考えます。 会場であるグランドギャラリーには階段を降りて入っていくのですが、その際一番初めに目に入るのがこのエリアです。 壁面と床全体に広がるひまわり畑の美しさや迫力が、来場者をゴッホの世界へ引き込むアイキャッチの役割を担っていました。 第1会場と第2会場は、時間をかけてゴッホの世界に触れる場所ですが、 ここは一瞬で世界に引き込むための空間であるように感じました。 また、会場マップを見ると、第1会場への入口と第2会場の出口がどちらも第3会場に繋がっており、第3会場から第1会場に行き、 一周してまた同じ場所に戻ってくるという流れにより、明確な展示の終わりを感じさせないような構成になっていると感じました。 これによりゴッホの世界に居る体験を、より長く自然に続けることができるのだと思います。 撮影時には、ひまわりの花束や麦わら帽子を借り、より世界観に合った写真を撮ることができたり、 セルフィースタンドで人に頼らなくても撮れるよう気遣いがされていたり、来場者の目線で考えられた工夫が多く見られました。 【「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」が人気な理由】 これまで3つの会場について考察してきましたが、それを踏まえ、なぜ本展示が会期延長に至るほど話題になったのか考えると、 「3通りの体験が生む満足度」が大きな理由だと思い至りました。 近年、第1会場のような没入(イマーシブ)体験ができる展示は増えており、注目が高まっているものではありますが、 本展示のように、それ1つの表現方法にとどまらず、3通りもの体験ができる展示は特別だと思います。 第1会場「体感型デジタルアート劇場」では、ゴッホが見た世界そのものに入り込むような没入感のある体験。 第2会場の年表では、ユニークなグラフィックでゴッホの生涯を楽しく辿る体験。 そして第3会場のフォトスポットでは、迫力のあるひまわり畑で写真を撮るという体験。 これら全てを体験した後の満足度の高さは、ここでしか得ることのできない特別なものになり、 その満足度の高さこそが、本展示がここまで話題になった理由ではないかと考えます。 【まとめ】 今回は「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」について、考察や所感を述べさせていただきました。 複数の体験方法を組み合わせることの効果や、細かすぎるほど作り込まれたグラフィックの面白さなど、多くの発見がありました。 普段グラフィックデザインを行なっている身としては、第2会場の年表は特に見応えがあり、 ユニークなデザインの中に来場者が理解しやすいような工夫があることを発見でき、大変勉強になりました。 もしかしたら気付かれないかもしれない、という細部までこだわりを持って考えることが、時にはとても大事であると感じました。 今回の展示に限らず、実際に足を運ぶことで得られるものは数多くあるので、ぜひ様々な展示を体験してみてください。 私自身も、今後も様々な展示に足を運びたいと思います。 ※参考※ ・角川カルチャーミュージアム公式サイト ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー:https://kadcul.com/event/77

【ミライデザイン研究所】3種類の体験で、ゴッホが見た世界を体感する【前編】

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クリエーティブ本部 デザイナーのTです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。 今回のトピックは、 前編・後編と角川武蔵野ミュージアムで開催された「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」についてお届けいたします。 角川武蔵野ミュージアムではグランドギャラリーにおいて、1100㎡以上の巨大空間をあますことなく、 映像と音楽で包み込む「体感型デジタルアート劇場」を開発しました。 本展示はその第2弾として、ファン・ゴッホが見た世界を会場の壁と床360度に投影された映像と音楽で追体験する展示となっています。 また、デジタルアート劇場に加え、年表と手紙と共にゴッホの生涯を辿る「ファン・ゴッホの手紙」、 無料エリアである「ひまわり畑のフォトスポット」があり、3つの会場でゴッホの世界を体験出来ます。 当初2022年11月27日(日)まで開催の予定でしたが、来場者が10月16日(日)までで15万人を突破し、 来場を希望する多くの声を受けたこともあり、2023年1月9日(月)まで期間が延長されました。 今回は先ほど述べた3つそれぞれの会場で、ゴッホの世界を体験するためにどのような工夫がされているのか、 そしてこの展示が多くの来場希望者を生み、期間延長まで至った理由を考察したいと思います。 【第1会場:来場者が完成させる空間】 まずは第1会場である「体感型デジタルアート劇場」についてです。 このエリアでは、「来場者がいることで完成する空間」になっていることが最も重要なポイントだと考えます。 ゴッホの絵画が壁や床にシームレスに投影され、音楽と映像によってゴッホが見ていた世界が表現されている空間で、 来場者が思いのままに鑑賞する姿が見られます。 おじいさんが森の中を歩き、カップルが座って海を眺め、街中で家族が写真を撮る。 中に人がいることで、絵画の世界に本当に人々が生きているような感覚を得る事ができ、幻想的な空間が完成するのだと感じました。 本展示の仕掛け人であるイマーシブアート クリエーティブディレクターのジャンフランコ・イアヌッツィ氏は、 「私は、観客をただ見るだけの鑑賞から解き放ちたいと思っています。それには観客自身がショーの不可欠なピースとなり、 巨大なステージ上の登場人物であると感じてもらうことが大切だと考えています。」と述べており、 その思いがしっかり組み込まれていると感じる空間でした。 【第2会場:飽きさせないグラフィック】 続いては、年表と手紙と共にゴッホの生涯を辿る「ファン・ゴッホの手紙」です。 このエリアでは、「飽きさせない細かいグラフィック」と「読まずとも理解できる年表」が重要なポイントだと考えます。 第1会場でゴッホの世界に入り込んだあとは、年表で詳しくゴッホの生涯を見ていきます。 一般的な展示会にある説明文の多くは、文字が小さかったり文章が長かったりと、読むうちに疲れてしまう、 そもそも読む気にならないと感じる人が少なからずいると思います。 それに対しこちらのエリアでは、じっくり読まずとも理解でき、飽きさせないための細かい工夫がいくつかあったので、 その中から2点ご紹介させていただきます。 まず一つ目は、赤い折れ線と表情イラストです。 ゴッホの感情の起伏を、折れ線グラフのような線とユニークな表情イラストで表現しています。 表情イラストは同じものがないのではというほどパターンが作られており、一つ一つ見ていく楽しさがありました。 この赤い折れ線と表情イラストにより、幸せな時や思い悩んでいる時などの流れを直感的に理解することができます。 二つ目は、説明文を一言でまとめたテキストと、変化していくフォントです。 先ほど、説明文が長いと読む気にならない人がいると述べましたが、こちらでは説明文の印象的な言葉や要点を壁面上部に大きく出し、 細かい文を読まなくても出来事が理解できるようになっていました。 また、上の写真はこのエリアの序盤のグラフィックで、文字はゴシック体で統一されているのですが、 年表が進むにつれてフォントに変化が出てきます。 こちらは終盤のグラフィックです。 言葉一つ一つのフォントが変えられており、違和感と面白さを感じるような文字になっています。 ゴッホは思い込みや感情の起伏が激しい部分があり、波瀾万丈な人生を歩んでいたようで、徐々に精神的に不安定になっていく様子を、 フォントの変化で表現したのではと考えます。 他にも、ゴッホの絵画をモチーフにしたフォトスポットがあったり、年齢をひまわりの本数で表現していたりと、 多くの飽きさせない要素がありました。 出来事を直感的に理解させる年表の工夫と、細かい遊びのあるグラフィックが、 見ていて飽きない、疲れさせない展示にする重要なポイントだと感じました。 (後編に続きます) ※参考※ ・角川カルチャーミュージアム公式サイト ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー:https://kadcul.com/event/77

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証 (ISO/IEC 27001)を取得しました。

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株式会社ジールアソシエイツ(本社:東京都中央区、代表取締役:永門 大輔)は、 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である 「ISO/IEC 27001:2013」を、以下の通り取得いたしました。 当社では、これまで情報セキュリティ基本方針を制定し、情報セキュリティ対策を推進・構築に取り組んで参りました。 今後もお客様の重要な情報を保護するため情報セキュリティ基本方針を遵守し、 一層のサービス向上をご提供できるよう社員一同誠心誠意努める所存でございます。 適用規格 : ISO/IEC 27001:2013 認証番号 : GIJP-0908-IC 認証場所:本社、FUNABORI BASE 認証登録範囲 : 体験に特化したハイブリットプロモーションの企画・制作・開発 認証機関 : 株式会社GCERTI-JAPAN 認証登録日 : 2022年12月28日 【株式会社ジールアソシエイツ 概要】 本社 東京都中央区銀座1丁目19-7 JRE銀座一丁目イーストビル8F 設立 2004年1月23日 代表 代表取締役 永門 大輔 事業内容 スペースデザイン事業 コミュニケーションプランニング事業 インタラクティブコミュニケーション事業 HP https://www.zeal-as.co.jp Facebook https://www.facebook.com/ZEALAssociates twitter https://twitter.com/zealas Instagram https://www.instagram.com/zealassociate_corp/ 【本件リリースに関するお問い合わせ先】 株式会社ジールアソシエイツ コーポレート本部 東京都中央区銀座1丁目19-7 JRE銀座一丁目イーストビル8F Tel : 03-6264-2690 / Fax : 03-6264-2693 E-mail : kanri@zeal-as.co.jp Web : https://www.zeal-as.co.jp

【ミライデザイン研究所】空間におけるコラージュ表現の可能性-後編-

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クリエーティブ本部 デザイナーのMです。 【ミライデザイン研究所】とはーーー 空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、 考え方やデザインの成り立ちについて考察、 予想し、アイデアにプラスしていく、そんな企画です。 前編に引き続きまして、 今回のトピックは、世界に誇る日本の建築家が手掛ける建築物である、藤本壮介氏「東京アパートメント」についてお届けいたします。 【東京アパートメント】 「東京アパートメント」は東京都板橋区の集合住宅に立地し、 一般的な三角屋根の家を動かしながら重ねたような外観が特徴の建築物です。 地下がRC造それ以外は木造というシンプルな構造ですが、5つの家が複雑に重なっており建築の可能性を広げた作品だと感じました。 家型の躯体の積層とズレより外と内の間に中間領域が生まれ、街の中にいるのか外にいるのかわからなくなる空間となっています。 これこそが「東京らしさ」という藤本壮介氏の考え方が表現されている部分だと感じました。 また、この中間領域はロフトもあれば、梯子や外階段といった動線に繋がる部分であったりと様々な形状で構成されています。 【まとめ】 意匠だけでなく、環境や使い手、構造、その建物の現在と未来、作るもの一つ一つにしっかりとしたコンセプトがあり、 その上でカッコ良いデザインを作ることが本来のデザイナーの姿であるべきだと思いました。 これは我々の業界にも通じる話であり、クライアントの意向、人の動線、商品の見せ方、環境、構造等、 これらの条件をしっかり抑えた上でコンセプトを考え形作ることで、総合的に説得力のある美しいデザインになっていくと思います。 これからも様々な建築物やデザインを見て学び、吸収し、 クライアントの求めるものを超えたデザインを提案できるデザイナーになっていきたいです。 今回、世界に誇る日本の建築家として「隈研吾氏」と「藤本壮介氏」を選ばせていただきましたが、他にも沢山の建築家・建築物があります。 是非、皆さんも様々な建築物を見学しにいっていただけたらと思います。 ※藤本壮介氏「東京アパートメント」概要※ ・東京都板橋区のごく一般的な住宅街に立地している。 ・四角い箱に三角の屋根という、多くの人が思い浮かべる家の形をした部屋が5つあり、 それが少しずつ動かして重ねたような外観が人目を引く。