【ミライデザイン研究所】思わず近づいてみたくなる工夫とは -前編-
2022.01.17クリエーティブ本部 デザイナーのNです。
【ミライデザイン研究所】とはーーー
空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、
考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。
今回は、昨年11月に二子玉川にオープンした、絵本作家エリック・カールの描く絵本の世界観がテーマの
国内初インドアプレイグラウンド施設「PLAY! PARK ERIC CARLE」についてお送りいたします。
エリック・カールは「絵本の魔術師」と呼ばれ、仕掛け絵本などを得意とした日本でも愛される絵本作家です。
世界的なベストセラー絵本『はらぺこあおむし』や『パパ、お月さまとって!』など一度は読んだことがある人が多いのではないでしょうか。
こちらの施設は、「緑の迷路」「ディスカバリーゾーン」「アスレチック」「オートマタ(からくり人形)」「アトリエ」など、
9つのブースを行き来する構成となっており、遊びを通して学びを得ることを大切にしていたエリック・カールの世界観を表現しています。
子供だけでなく大人も楽しめる作りとなっていたため、今回は小学生の従姉妹と一緒に私もカラフルで暖かい空間に浸ってきました。
遊べて、学べる施設。
その魅力の秘密に着目して以下の3つのポイントに沿ってレポートし、
後半は体験型展示の観点から他の展示会や店舗についてもご紹介したいと思います。
【3つのポイント】
1.子どもも親も安心して楽しむための、目が行き届く工夫
2.子供の目線だからこそ楽しめる仕掛け
3.見るだけではなく、触って学べる
今回の前編ではポイント1.と2.のレポートをお送りします。
1.子どもも親も安心して楽しむための、目が行き届く工夫
「PLAY! PARK ERIC CARLE」の対象年齢は、0歳~12歳の子どもとその保護者です。
私が行った際もまだ背丈の低い子たちがたくさん訪れていました。
子どもたちは視線の位置が低く、親も姿を見失いやすいです。
そういった問題への工夫が入り口から施されていました。
入ってすぐの、靴を脱いで荷物をしまうロッカーエリアでは、鉢の巣をモチーフとした靴入れが並び、
その六角形から奥が抜けて見えることで、子どもは親の姿を確認しやすく、
また保護者もお子さんを見失わずに安心して荷物を整理できます。
▲中が抜けていることで、通路の視認性を良くしている靴入れ
靴を脱ぎ、足の裏で感触を楽しみながら来場者は冒険の始まりを感じます。
3つある扉のうち1つを選び開けると、待っているのが「緑の迷路」です。
ここでは緑の塀で囲まれた迷路を進みます。
迷路の所々にはエリック・カールのイラストが散りばめられており、
子どもでも見やすい低い位置にある生き物達を頼りにしながらゴールを見つける楽しみがあります。
天井の鏡貼りによって高さや広がりを感じられ、保護者も子どもの位置を把握できます。
▲柱や天井が鏡貼りの為、子どもが何処にいるか分かりやすい「緑の迷路」
その他にも「アスレチック」の遊具に登った際の高さが大人の目線にくるような設計など、
子どもたちの動きを制限せずに保護者が安心して見守ることができる工夫が随所に感じられました。
2.子供の目線だからこそ楽しめる仕掛け
「緑の迷路」を抜けると「ディスカバリーゾーン」が待っています。
ここは子どもたちが大好きな虫や動物を発見し、触れ、出会える場です。
エリック・カールが描いた生き物や昆虫標本などが展示されています。
展示されている動物達は触れることができ、手に優しい素材で作られています。
大人では気づかないような位置に扉や覗ける仕組みがあり、私もかがんで見るとまた違う発見が多くありました。
昆虫や夜の生き物などカテゴリに分かれており、昆虫標本の展示近くでは虫の音が聞こえ、
音や色合いでも生き物の生態を感じられます。
▲触りやすい素材で、子ども達が自ら発見し楽しめる仕掛け達
▲近くに寄って覗いたり、耳をすましたりすることで気づける展示
続いての「アスレチック」ブースでは、思う存分体を動かして遊べます。
そんなアスレチックの遊具の中にも、ワクワクする仕掛けがありました。
遊具の壁に描かれた★や▲の謎のメッセージ。
これはエリック・カールの絵本『たんじょうびのふしぎなてがみ』に出てくる手紙の内容です。
早速近くを探してみると、メッセージに書かれた記号が見つかりました。
指示の通りに辿っていくと最終的にあるものが見られます。
私も昔読んだことのある作品でしたが、子どもの目線で下から覗かないと探すのが難しい仕掛けがあり、
私一人では答えを見つけられず従姉妹が教えてくれました。
▲少しかがむだけでは気づけない隠し要素で、子どもと一緒に楽しめる
詳しくは訪れてからのお楽しみですが、子供がどんな世界を見ているのか大人に気づかせてくれる要素でした。
(後編に続きます)