【ミライデザイン研究所】Chim↑Pom展で体験した 社会問題への強烈なアプローチ -前編-

インサイドジール 日本語記事

クリエーティブ局 デザイナーのIです。

【ミライデザイン研究所】とはーーー
空間デザインの領域から一歩外に飛び出し、
考え方やデザインの成り立ちについて考察、予想しアイデアにプラスしていく、そんな企画です。

今回のトピックは、現在森美術館で開催中の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」についてです。
Chim↑Pom(チンポム)は、独創的なアイデアと卓越した行動力で社会に介入し、
我々の意表を突くプロジェクトを多く手がける、アーティスト集団です。
日本社会や原爆、震災など現代社会の事象や諸問題に対して強いメッセージを持つ作品を生み出し続けています。

今回の展示では、結成17周年を迎えるChim↑Pomの初期から近年までの代表作と今回の展示のための新作、
計150点が一挙に並ぶ初の本格的回顧展となっています。
展示はいくつかのテーマごとにエリア分けされており、様々な工夫がなされたダイナミックかつ思い切りの良い展示構成により、
作品一つ一つにスポットが当たるような展示会となっていました。

今回はこの企画を体験して感じた下記の2点について考察してみたいと思います。

①Chim↑Pomの作品・企画構成について
②作品のメッセージをより強める空間での工夫


①Chim↑Pomの作品・企画構成について
私は、本展示にて初めて「Chim↑Pom」の作品や活動について知ったのですが、
圧倒的かつ独創的な企画構成・作品作りにとても刺激を受けました。
そこで、数ある展示の中でも私が特に刺激を受けた作品・企画について、いくつかご紹介させていただきます。

◆Sukurappu ando Birudoプロジェクト -ビルバーガー-

この写真は「ビルバーガー」という作品で、「Sukurappu& Birudoプロジェクト」というプロジェクトにて展示された作品の一つです。
「Sukurappu ando Birudoプロジェクト」とは2021年に開催された東京オリンピックに向けて、
急速に再開発が進む東京の都市の姿を「スクラップ&ビルド」をテーマに描くプロジェクトです。

このプロジェクトの内容の一つとして、Chim↑Pomは解体が決まっていた新宿の歌舞伎町商店街復興組合ビルを舞台に
「また明日も見てくれるかな?」展を開催しました。
この展示では、前述したように「急速に再開発が進む東京の都市の姿」を問題視し訴えかける作品が10数点展示され、
地下スペースにてパーティイベントも行ったのち、展示会終了後の2017年1月に同ビルは展示作品もろとも取り壊され、
その瓦礫と作品の残骸を次回の「道が拓ける」という高円寺にて行われた展示で、”新作として”発表しました。
このプロジェクトは全てChim↑pomの自費かつ自主運営で行われ、その全貌は書籍「都市は人なり」にまとめられました。

プロジェクト名の「スクラップ&ビルド」が和製英語であることから、敢えてローマ字表記になっています。
作品一つ一つに都市開発に対して問いかける強烈なメッセージ性があり、それだけでもとても考えさせられるものがありました。
それを敢えて解体の決まったビルで展示を行い、作品もろとも取り壊され、
さらにそれを作品として見せるという「ストーリー性のある企画構成」により、
当時一連の流れを体験した方々の受けた衝撃は計り知れないな、と感じました。

◆リアル千羽鶴

これは「リアル千羽鶴」という作品で、名前の通り千羽鶴を集め、巨大な鶴を模した作品です。
こちらは個人や団体からの発注で1羽ずつ製作され、最終的には千羽鶴と同様に1,000羽作るという目標をコンセプトとしています。

中でも、広島にて行われた「Non-Burnable」というプロジェクトでは、
広島に送られてくる大量の千羽鶴をメンバーであるエリイさんが元の折り紙に戻し、
中に書かれたメッセージ等を読む様子を録画したビデオと共に、
それをまた折り鶴へと観客に折り直させるワークショップを展開しました。

こちらも前述のプロジェクトと同じく、折り紙に戻した鶴を観客に再度折り直させることで「行動」を通して
ただ見せるよりもはるかに大きなインパクトやメッセージを観客に与えたのではないかと思います。
平和、というありふれているからこそ伝えることが難しいテーマに対して、
こういった角度・内容でアプローチを続ける姿勢にはとても刺激を受けました。

(後編に続きます)


■参考
・「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」公式サイト:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/chimpom/
・Chim↑Pom公式サイト:http://chimpom.jp/