LIGHT OF FLOWERS ハナの光

インサイドジール

いけばなは命の儚さを表す一方 宝石は永遠の美を伝える———

1906年に誕生したハイジュエリーメゾン「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」が開催した
期間限定エキシビジョン“LIGHT OF FLOWERS ハナの光”
華道家の片桐功敦氏とのコラボレーションにより、花々を描いたメゾンのジュエリーから着想を受けたインスタレーションを制作。
日本の情趣あふれる幻想的な空間の中で、花々の一瞬の美しさとその輝きをご来場の皆さまにお楽しみいただきました。

ZEALはプロジェクト全体のとりまとめを行いました。
中心となるPOP UPイベントでは、片桐氏が作り上げる世界観やそのイメージを汲み取って、空間全体を形作りました。
本展示とは別に、プレス・VIP向けプレビューイベントや、子供向けのワークショップ、
ブランドにゆかりのあるアーティストの方々をお招きした配信トークイベント等も行っています。

今回は本案件に携わった社内のチームメンバーたちが、その制作過程について振り返ります。

【チームメンバー】
Account Executive: Kohei Sugiyama / Risa Nishijima
Space Design: Takuya Okamoto
Production: Makoto Shibata / Saki Iwakawa
Event Management & Broadcast: Tadashi Ishida

“LIGHT OF FLOWERS ハナの光”について

本イベントは、コレクションのプロモーションでありつつも、ノンコマーシャルを掲げており、
「花」をテーマに芸術という視点にフォーカスした期間限定エキシビジョンでした。
会場の床から壁面、窓面、天井まで空間を余すことなく使用し、
またそれぞれがうまく調和するよう、絶妙な調整を重ねながら制作を信仰。
片桐氏の手掛けるいけばなと共に、窓面や天井には普段見ることのできない角度のお花のスキャングラフィックを掲出したり、
仮設展示でありながら床や壁面の仕上げを左官職人に依頼するなど、展示自体も新しい手法を取り入れ試みることで
想像の中だけにあった幻想的な世界を現実に演出することができました。

ZEALに与えられたミッション

Sugiyama – Account Executive:
今回は、ブランドと片桐氏が設定したコンセプトを実現させることがZEALのミッションでした。
コンセプトは文章を読んだだけで理解できるものではないので、ブランド担当者と片桐氏とたくさんのコミュニケーションを交わし、
私自身のマインドをその思想に近づけるよう心がけました。
本展は残念ながら新型コロナウィルスの影響で会期が当初の予定より延期してしまっていたのですが、
その時間があったからこそ、思いを深めることができました。

Okamoto – Space Design:
どういった世界観・表現にしていくか、片桐氏にお話を伺っていきながら、
私が一つ一つの要素を会場にどう落とし込んでいくか、検討していきました。
特に今回のメインとなるインスタレーションは、いわば”アート空間”であるので
明確な形がない中で、その世界を表現するにはどうするべきかを具体化していく事が、今回の一番の役割であったと感じます。

「神は細部に宿る」 今回の見せどころ

Sugiyama – Account Executive:
生花を中心に、足元には池、床面はモルタル仕上げ、窓面には巨大な花のビジュアル、壁は日本一の左官職人による土の左官壁、
と様々な要素があいまった一つの空間作品が出来上がりました。
さらに朝日や夕日が差し込むと、空間の表情が変わり、空間自体に命が宿ったようなとても神秘的な世界が生まれました。

Nishijima – Account Executive:
片桐氏によるいけばなの他、会場内での池の設置やショーケース周辺の左官壁、来場者へお渡しする冊子など
多くの一流の方々とご一緒した現場だったのですが、
その結果出来上がった空間は仮設であることを忘れるほど美しく、「神は細部に宿る」とはまさにこのことだなと感じました。


皆のこだわりを形にするために

Sugiyama – Account Executive:
ハイジュエリーブランドの提供する空間として求められる非常に高いクオリティと、
アーティスト片桐氏の思想を形に起こす、という両側面を実現する必要があったところです。
目に見える一つ一つの仕上げに用いる素材、ビジュアルの制作から目に見えないところの構造体、
さらには施工時の作業工程を決めていくにあたって、様々な検証を行いました。
クライアントや片桐氏に確認をとりながら詳細を詰める工程においては、膨大な時間を要しました。

Okamoto – Space Design:
空間全体の設計はもちろん、ジュエリーのショーケースや池の構造など、それぞれ何度も検証を重ね構成していくことばかりでした。
また一つ一つの仕上げに構造だけでなく、左官などの素材が絡むことが多く、
それらをどう取り合わせて形作るかがとても綿密な作業で、多くの時間を要しました。
個人的には、天井に構成された行灯グラフィックがとても印象に残っています。
ここは2枚の写真をパズルのように組み合わせて出来たビジュアルになっていて、
その取り合わせやサイズ、高さ関係など、片桐氏と何時間も話し合って作り上げたので、
空間表現により深く携わらせていただき、思い出深いです。
実際の会場で見ても存在感のあるものになっていて、時間を費やした分、大変な感動がありました。

Shibata / Iwakawa – Production:
ブランドやアーティストの方々のこだわりは、形にするととても繊細であるものが多かったため、
何度も打ち合わせや検証を重ね、細部まで詳細を詰めていきました。
また会場の中に天井や床を作るなど、代官山T-SITE GARDEN GALLERYとしても初めての試みばかりだったので
会場担当者と密に連携を取りながら、進めていきました。

Tadashi Ishida – Broadcast:
造作だけでなく、コミュニケーションの細部にまでブランドのこだわりが詰まっています。
時間の許す限り、運営や配信についても確認していただく機会を多く設けていただきました。
特にトークイベントはオンラインでの開催であったため、事前に配信テストを視聴していただいたことで
イメージをすり合わせることができ、結果的に配信プラットフォームを変更して、
ブランド担当者様の理想に近づけることができました。

本番を迎えて

Tadashi Ishida – Event Management:
今回の主役である「いけばな」。
花は、息をする生き物です。
オープンした後も、自動ドアの開け閉めによる風の影響を見て自動ドアの運用を変えたり、
池の水の濁り具合でメンテナンスの日程を変えたり、様々なことがありました。
片桐氏とコミュニケーションを取りながら、協力会社と連携をとってそれらに対処していきました。

Sugiyama – Account Executive:
また片桐氏自身も、”常に美しい状態の花を来場者に見せたい”という思いから毎朝お花のメンテナンスにいらっしゃいました。
3週間という会期を、チーム一丸となって朝から夜まで守りきりました。

ご来場の皆さまの反応

Nishijima – Account Executive:
会場に入れば全体を見回せるほどの、決して広くはない会場なのですが、
その中でいけばなのインスタレーション、ジュエリーのショーケース、足元の池(屋内なのに!)、
モルタル仕上げの床面、ステンドグラスのように美しい花のグラフィックがあしらわれた窓、天井、左官壁…と
見どころが満載の展示でしたので、見る人によってそれぞれの見方があったのが面白かったです。
窓からの光で、外の天候や時間帯によっても見え方が変わり、また毎日いけばなのメンテナンスもされていたので、
同じ状態は2度となく、移り変わっていく過程の中で皆さま様々な感想を持たれていました。

『一生忘れられない仕事になりました』

Okamoto – Space Design:
一度延期となっている分、その期間があったことで、片桐氏をはじめブランドの方々やZEALメンバー、
様々な思いがより深まり、こだわり抜いた空間が完成されたと思います。
空間が完成するまでの過程を日々目の当たりにし、ここまでの熱意や拘りが込められいることに非常に刺激を受けました。
特に今回はリアルでしか体感することが出来ない表情のある空間であったので、改めてその面白さを感じました。

Tadashi Ishida – Event Management:
今回、会場運営、事務局、トークイベント演出進行、ワークショップ運営、限定公開日のプレビュー運営進行など、
イベントのソフト面すべてを統括する立場に立たせていただきました。
業務は多岐に渡り、全てを完璧にこなせたわけではありませんが、各所で大きく成長させていただいた案件となりました。

Shibata / Iwakawa – Production:
撤去まで終えて安心感とともに少し寂しさもあります。
日本を代表するアーティストの方々との仕事は、制作や施工工程に対する考え方など
通常の仮設イベントとは全く異なったもので大変刺激的でした。
この案件で学んだことをこれからの糧に頑張っていきたいと思います。

Nishijima – Account Executive:
今回イベント全体のプロデュースやディスプレイ制作を行うにあたり、
クライアントや片桐氏の考え方・思想に深く踏み入り、様々な思いに触れながら進行してまいりました。
このようにいちブランドの姿勢やビジョンを体現するようなノンコマーシャルなイベントに、
こうして携われたことを大変誇りに思っています。
制作の部分では、強いこだわりがある分一筋縄で決定する事項はほとんどなく、
修正や追加も多々ありましたが、 ZEALプロジェクトメンバーの頼もしさに何度も助けられました。
新型コロナウィルスの感染拡大で開催が危ぶまれながら、無事大盛況のうちに終了することができ本当に良かったです。
始めた時はゼロの状態だったものにたくさんの方々の思いを乗せて施工が完了した時は、
「人々に驚きと感動を与える」という思いを掲げて進めてきたはずが、私自身が感動の気持ちをもらってしまいました。
また、クライアントや片桐氏、ご来場いただいた方々の面持ちを見たときに、
リアルイベントの良さや、この仕事の魅力を改めて実感することができました。

Sugiyama – Account Executive:
ブランドの皆さま、片桐氏、社内のチーム、会場担当者、協力会社の方々…
携わった方々には本当に恵まれ、苦労も多かったですが、皆さんに救っていただきました。
一生忘れられない仕事になったと思います。
苦労もありましたが、本当に素敵なプロジェクトでした。


【開催概要】
LIGHT OF FLOWERS ハナの光
会期:2021.4.22 – 5.9
会場:代官山T-SITE GARDEN GALLERY(東京都)

♦︎華道家・片桐功敦氏
大阪府堺市のいけばな流、花道みささぎ流の家系に育ち、24歳で家元襲名。
そのいけばなスタイルは、伝統的なものから現代美術的アプローチのものまで多岐にわたる。
さまざまな分野のアーティストとのコラボレーションや、
「いけばな」をテーマにした執筆活動を幅広く行う。
野に咲く小さな草花から、長年のテーマである桜を使った大規模なインスタレーション作品まで、
その芸術性は花を通して空間を演出しながら、いけばなの原点である「アニミズム」的な側面を深めている。
(引用・参考:Wikipedia“LIGHT OF FLOWERS ハナの光”公式HP