インサイドジール

【イベントのプロが考える】
展示会ブースデザイン成功の企画術

2025.07.30


近年、デジタルやオンラインの技術が発展する⼀⽅で、
「リアルな場」でしか得られない価値も再認識されています。
なかでもFace to Faceで来場者と接点を持てる「展⽰会出展」は、
今なお強⼒なマーケティング⼿段です。

本記事では、数々の展⽰会を⼿がけてきた私たちジールアソシエイツが、
展⽰会を“戦略的なビジネスの場”として成功させるための企画術を、
プロの視点でご紹介いたします。

展⽰会は“戦場”である

展示会といえば、「企業が製品・サービスを紹介するイベント」「⾒本市」「情報収集の場」など、
さまざまなイメージが浮かぶのではないでしょうか。
ですが、私たちはあえてこう⾔いたい。
「展⽰会は、戦略と戦術で勝ち抜く“戦場”である」と。
限られた時間と空間の中で、どれだけターゲットの⼼を掴み、企業・ブランドの印象を残せるか。
そのためには、戦略・デザイン・体験・演出・運営などすべてが連動した
「勝つための企画」が必要不可⽋だと考えています。
では、ここからステップに分けて、ご説明いたします。

STEP 1:まずは“ゴール設定”から始める

すべての企画の出発点は「何を達成したいのか」という明確なゴールの設定です。
・とにかく製品やサービスの認知度を上げることなのか
・深いコミュニケーションから、理解を促進したいのか
・企業の姿勢やメッセージを強く伝えることなのかetc…
このゴールが曖昧だと、戦略を考えることが難しく、
デザイン、コンテンツなどの戦術も迷⾛してしまいます。
展⽰会ブース設計は、ゴールから逆算して考えることが鉄則です。

STEP 2:周辺情報を読み解く“戦略⽴案”

続いて⾏うのが、ゴール達成のための戦略策定です。
・クライアントの状況
・業界動向と競合情報
・製品やサービスの特徴
・展⽰会のテーマや来場者傾向
・これまでの出展実績
こうした周辺情報を網羅的に分析した上で、
「何を伝えるべきか」「誰に届けるか」「どう印象づけるか」を明確にし、
戦略・⽅向性を定めていきます。

STEP 3:方向性を決定づける戦略コンセプトの策定

STEP2で導き出した周辺情報をもとに、
展示会ブースの核となる方向性を定め、戦略コンセプトとして言語化します。
このコンセプトは、ブースのデザインやコンテンツを形づくる“地図”のような存在です。
その地図をチーム全員で共有することで、同じ方向を見据え、具体的な戦術へと落とし込みます。
大切なのは、「わかりやすく、明確なコンセプト」を立てること。
それこそが、戦場での成果を左右します。

STEP 4:体験設計で“⼼を動かす流れ”をつくる

導いたコンセプトを実際の戦術として、具現化するのが体験設計です。
展⽰会ブースの真価は、この「体験設計」にあります。
単に情報を並べるのではなく、来場者の感情が動くストーリーや体験の流れを構築します。
来場者の気持ちに寄り添い、ブースでの⾏動や⼼理変化を何度もシミュレーション。
興味→共感→記憶に残る体験という⼼理変容を意図的に組み⽴てます。

STEP 5:コンセプトに沿った“デザイン”で伝える

ここで初めてデザインへと移ります。
この段階で重要なのは、導き出したコンセプトとデザインがしっかりと繋がっていること。
適正なゾーニング(動線設計)
訴求軸を⽀えるグラフィックやコピー
世界観を深めるマテリアルや照明演出
これらの要素を統合し、戦略と体験ストーリーを「デザイン」という形で可視化していきます。
さらに、デザインだけでなく、展示・演出・運営なども含めて戦略コンセプトとの⼀貫性を持たせることが大切です。
こうした一貫性こそが、来場者の記憶に残るブースを生み出すカギとなります。

また、ここでポイントなのが、パワーのかけどころを⾒極めることです。
限られた予算・時間の中で成果を最⼤化するには、⼒の配分がカギを握ります。
・集客につながる外装・アイキャッチなのか
・滞在時間を延ばす体験コンテンツなのか
・ブランドイメージを訴求するグラフィックなのか
・印象を残すステージ演出なのか
⽬的に照らし合わせて、「どこに、どのくらい⼒をかけるか」を⾒極める判断を行うのがプロの仕事です。

STEP 6 :“来場者視点”を貫く

どんなに洗練された空間でも、来場者の気持ちを動かせなければ意味がありません。
伝えたい情報が自然に⼊ってくるか?
興味を持って次に進んでもらえるか?
記憶に残る体験になっているか?
常に来場者の視点に⽴って考えることが、展⽰会を成功に導く最重要ポイントです。

私たちが⼿がけた展⽰会ブースのご紹介

ここからは実際にプロデュースさせて頂いたブース事例をご紹介いたします。

第9回スマート工場EXPO / キャディブース

ブース内で実際に製品に触れてもらうことで来場者にCADDI DRAWERの理解を深めるブース
AIを使ったソリューションは増えていますが、触ってもらわないとなかなかイメージがしずらい部分もあるため
キャッチコピーを軸にしたアイキャッチで誘引し、ブース内で製品に触れてみたくなる開放的なブースを目指しました。
結果として体験を通じ、来場者とのコミュニケーション活性化につながりました。

関西物流展/ 東急不動産ブース

クライアントが展開する物流施設の訴求・認知拡大を目的に、適切なタッチポイントを設けることで、
来場者の深い理解につなげるブースを構築しました。
大型LEDモニターをアイキャッチとして活用し、模型・グラフィック・映像などの情報に触れながら、
来場者が自然と詳細情報にアクセスできるよう、体験動線の設計に工夫を凝らしています。

オートモーティブワールド / イータスブース

業界内でのプレゼンス向上と集客力の最大化を目指し、
上部の造作と壁面に照明演出を採用し、来場者の関心を惹きつけるとともに、先進性をアピール。
ステージに取り入れたモニターとインパクトのあるグラフィック、
どこからでも視認できる社名掲出で集客力を最大限高めております。

まとめ

展示会は単なる“ブースづくり”ではありません。
限られた時間と空間の中で、ブランドや製品の価値を正しく、強く、深く伝え、来場者の心を動かす。
それは、企業にとって一種の“勝負の場”です。
だからこそ、重要なのは「美しいデザイン」や「目を引く装飾」だけではありません。
ゴール設定から始まり、企画・体験設計・デザイン・演出・運営までを一貫して連動させる“戦略的なブースづくり”が成功の鍵を握ります。

私たちジールアソシエイツは、数多くの展示会を手がけてきた実績とプランニングのノウハウをもとに、
「どうすれば来場者の心が動くのか?」を常に考え抜き、最適解をご提案しております。
展示会に求める成果や目的は、企業ごとに異なります。
だからこそ、「何を伝えるべきか」「どんな体験を届けるべきか」を一緒に掘り下げ、
最も効果的な手法で、伝わる空間・伝わる体験をつくりあげることが、私たちのミッションです。

「これから展示会に出展を検討している」
「従来とイメージを変えたい」
「自社の価値を空間でしっかり伝えたい」
そんなご担当者様へ——

まずは、軽いご相談からでも構いません。
ぜひ一度、私たちにお話を聞かせてください。