インサイドジール

感染予防対策に着目し、バンクシー展に行ってきました。

2020.07.08

クリエーティブ本部所属の関です。
今回初投稿になりますが、今後も記事を上げていく予定ですのでよろしくお願い致します。

第二波が警戒されている今、昨今の企画展ではどういった感染対策をしつつ営業しているのかに今回は着目していきたいと思います。
行ってきたのは「バンクシー展 天才か反逆者か」です。
コロナ渦で、3/28から一時期営業停止していたのですが5/29から営業再開したとのことで行ってきました。

バンクシーを簡単に説明すると、イギリスを拠点に活動しているストリートアーティストです。政治に対しての風刺作品や、消費社会に対するメッセージをアートを通して世の中に発信しています。彼の顔や生年月日は公開されていません。
昨年小池都知事がツイッターでバンクシーかもしれない絵が都内にあったと呟いて話題になりました。
憶測は色々あるようですが、未だに謎多き人物です。
この企画展は、バンクシー本人は非公式としているらしく、行く側の我々はそれを踏まえてみに行く必要があると思います。
本人は少し怒っているらしいです。

「バンクシー展 天才か反逆者か」のタイトルにあるように、企画展の最後にQRコードでアンケートに回答するような仕掛けになっています。
展示を見た人が「天才」か「反逆者」のジャッジをし、集計結果をweb上で公開しています。
賛否両論あるストリートアートだからこそ、みんなの意見は確かに気になります。


参照元:『バンクシー展 天才か反逆者か』ウェブサイトより

内容は企画者の「バンクシーについて知ってほしい」という思いが伝わってくるものになっており、有名なストリートアートに限らず、バンクシーが手がけた「Dismaland」(テーマパーク)や「The walled off hotel 」(ホテル)、「Exit Through the Gift Shop」(映画)に触れていたのは個人的には新しい一面を知ることができ良かったです。

内容の話はここまでにして、会場で行なっていた、感染対策を少しまとめてみました。
自分は現在ソーシャルディスタンシングについて色々調べているのですが、対策をする上でいくつかポイントが見えてきました。
ここからはその話をベースにバンクシー展が実際行っていた対策に着目していきたいと思います。
下記のピクトグラムは、現在世の中の感染対策を大きくジャンルに分けたものです。


一般的に”ソーシャルディスタンス”を意識させる床のバミリなどは「距離を保つ」、パーテションなどで飛沫を防ぐ対策は「仕切る」、ペーパーレスなどの対策は「接触を防ぐ」、消毒や換気に関しては「清潔を保つ」、オンラインの活用やシフト制の導入に関しては「オペレーションの対策」と区分けしました。

バンクシー展を振り返ってもこの5つに区分けすることが可能でしたので、紹介していきます。

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<対策>
1.予約サイトによる人数制限
2.消毒・検温
3.ポスターによるアナウンス
4.バミリによるソーシャルディスタンスの呼びかけ
5.換気施策
6.その他施策
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1.予約サイトによる人数制限

参照元:『バンクシー展 天才か反逆者か』ウェブサイトより

入場は、時間あたりの定員を設けており、完全事前予約制となっていました。
1人1時間で展示会を回る計算で設定されていました。
これにより集中する時間帯を避けることが可能になります。
この対策は「オペレーションの対策」に区分けできます。

2.消毒・検温


入場前にアルコール消毒と検温を行います。
体温が37.5度以上ある人は入れないようになっていました。
この対策は「清潔を保つ」に区分けできます。

3.ポスターによるアナウンス

入場前に貼られていたポスターで、マスクの着用や会場内での会話を控えるよう呼びかけていました。
あくまで呼びかけなので、マスク着用していなければ入場できないというわけではないですが、
袖やハンカチで口元を押さえて回っている人も何人か見かけました。
この対策は「オペレーションの対策」に区分けできます。

4.バミリによるソーシャルディスタンスの呼びかけ


フォトスポットなど人が集まりそうな場所には床にバミリがしてありました。
ビニールテープで簡易的に施したような物になっています。
この対策は「距離を保つ」に区分けできます。

5.換気施策

スタッフの方が、こまめに空気清浄機を手入れしていました。
会場の問題で外気を取り込みづらい環境でしたので、サーキュレーターを使い空気の流れを作り換気していました。
サーキュレーターの台数は5mに1台程設置されており、どこにいても風が当たる環境でした。
この対策は「「清潔を保つ」に区分けできます。

6.その他施策

映像を公開している空間では、基本立ち見を想定して作られており、ベンチに関しても隣同士にならないよう養生テープにて×マークが描かれていました。
この対策は「距離を保つ」に区分けできます。
5つの対策軸を設けたのには、感染対策をイメージしやすくなると思いますので、読んでいただいているクリエーターの皆様にも是非活用していただきたいです。

<考察>
今回実際に行ってみて体験することで色々と気付かされたこともありました。
仮の企画展を想定してまとめたいと思います。


※あくまで説明用のサンプルでありバンクシー展とは関係ありません

Check1:会場内での人数を分散させることが重要なので、いっそのこと出入り口付近でも人数調整をしてしまう考え方もできるかもしれません。
また、単純に待機しているだけだと飽きてしまうので、少し中が見える仕様になっている、この待ち時間にしかできない何かがあるなど、この待機の時間をコンテンツの一つとして捉えるようなアイデアがあってもいいかもしれません。

Check 2:オープンスペースを小さくすることは人の滞留時間を減らす点では効果的です。しかし、オープンスペースがあるからこそ、入口付近でのインパクトを与え、空間に抑揚も生まれてきます。
バランスを見て構成を考える必要はありますが、抑揚を持たせつつ人の流れを生み出すという意味では、オープンスペースにも回る順序が記載されていたり、番号が振ってあるなどのアイデアがあっても効果的な気がします。

Check 3:フォトスポットでは感染を警戒し通常時と比べ少なくなることが想定されます。自粛ムードもあったためコロナ禍では外出先でのSNS投稿に対し消極的になっていると考えられます。
自分が被写体になるものがフォトスポットと捉えがちですが何かを撮るという設定におもいきり振り切ってしまうのも1つの策かもしれません。

Check 4:壁の面積を少なくすることで、空気流れを生み出しやすくなります。
空間演出の点からしても、サーキュレーターの台数を必要最低限に抑えることで他の効果や演出にコストを回せるというポジティブな発想もできます。

これから開かれるイベントや企画展に感染対策を取り入れることは必須になってきます。
展示会であれば主催者側からガイダンスが出ることはありますが、こういった企画展などでは我々が感染対策を考えなくてはなりません。
施工する側の立場として、責任を持って全体の構成を考え、できる限り対策をしていく姿勢が今後重要になってきます。
現在海外ではかなり奇抜なアイデアが連日ネットニュースを騒がせています。
共通しているのはどれもポジティブな発想であるということです。
「感染対策をしています」ということを前面に打ち出し安心感につなげることも重要ですが、それでは企画展の魅力には繋がってきません。
楽しさは全然軽減していないし、来場者は気づかないけれどしっかりプロの技で実はソーシャルディスタンシングができているという状況が僕ら空間デザイナーが目指す1つの理想なのではないかと思います。
今回はWith コロナ時代を迎える中で業界全体でこの問題に向き合っていくことが重要だと感じ、感染予防対策に着目した記事をあげさせていただきました。
自身も勉強しつつ、引き続きアイデアを情報発信していければと思います。